石原慎太郎氏自爆テロに
都議会、元役人、企業など戦々恐々
それでも百条委逃げ切れない?
石原氏は「黒塗りは全部公開した方がいい」と指摘したが、
“デスノート”から誰が飛び出てくるのか
東京・豊洲新市場の移転問題をめぐり、石原慎太郎元都知事が反撃に転じた。小池百合子都知事が求めた「公開ヒアリング」は拒否しながら、都議会が求める参考人招致に応じると表明したのだ。
石原氏は「知っていることも全部話す。困る人も出るかもしれないけどね」などと恫喝じみたセリフを吐いたが、今後、百条委員会に引きずり出されて、返り血を浴びることもあり得る。
狡猾な「百条委員会逃れ」という見方も流れる。石原氏はどんな爆弾を炸裂させるのか、「困る人」とは一体誰なのか。
「OBも含めた都庁職員、それに区長2人、豊洲に関連した企業もそうだ。最も困るのは、引退の意向を示した『都議会のドン』こと内田茂都議率いる都議会自民党だろう。
石原氏は自身の名誉を守り、晩節を汚さないため、なりふり構わず関係者の実名を出してくるのではないか」
ある都政関係者は石原氏が語った「困る人」について、こう分析した。
石原氏は8日、東京・田園調布の自宅前で、豊洲新市場の移転問題を審議する都議会特別委員会が求める参考人招致に応じる意向を示した。
「俺、逃げ回るのが一番嫌いな人間なんでね。絶好の機会だからさ、喜んで参考人に行きます」などと格好を付けた。
参考人招致には、石原氏の腹心だった浜渦武生元副知事も応じるとしている。早ければ2月末にも開かれる見込みだ。
都民にとっては「豊洲の闇」を解明するための第一歩だが、関係者の間では、石原氏が握る“デスノート”に関心が集まっている。
豊洲移転は、石原都政時代に決まった。もともと、ガス精製工場の跡地で、環境基準を上回るベンゼンが検出されたため企業側は売却に後ろ向きだった。その後、浜渦氏が交渉に乗り出し、2001年7月に土地買収について基本合意した。
土壌汚染対策として行うはずだった「盛り土」の未実施も、石原都政下で決定された。関連性は不明だが、地下水モニタリング調査では、環境基準を大きく超える猛毒シアンなども検出され、再調査が始まっている。
都議会自民党も無傷ではすまなさそうだ。石原都政時代に連携し、豊洲移転を強力に進めてきたからだ。加えて、豊洲新市場の工事を担当したJVには、内田氏が監査役を務める電気工事企業が参加している。
小池氏はこうした「豊洲の闇」にメスを入れるため、石原氏に再三、「公開ヒアリング」に応じるよう求めてきたが、石原氏は体調不良などを理由に拒否してきた。書面での質問にも、「覚えていない」「分からない」など木で鼻をくくったような回答を寄せた。
都知事を4期務めた人物とは思えない態度に、小池氏は激怒していた。今回、石原氏が参考人招致を受けたことを、どう受け止めるのか。
小池氏周辺は「石原氏は『困る人も出る』と語ったようだが、まったくの見当違いだ。書面での質問には、事実上のゼロ回答だったのに、他人に責任を押しつけるような姿勢は見苦しい。
証言の信頼性自体が疑わしくなる。石原氏は豊洲新市場への移転にゴー・サインを出した最高責任者であり、その責任は免れない。参考人招致で何を語るのか、注意深く見ていきたい」と語った。
確かに、石原氏は8日、「青島(幸男元知事)さんや、鈴木(俊一元知事)さんのときに決まった」「都庁の責任」などと記者団に語り、まるで自身に責任がないような言い振りだった。
共産党都議団は同日、記者会見を開き、石原氏の参考人招致について、「偽証しても罪に問われることはない」と強い疑問を指摘した。
石原氏による参考人招致受諾について、都議会の一部では「共産党や民進党が、調査権限が強く、偽証に罰則もある百条委員会設置に動き出したため、それを封じる奇手ではないか」という見方がある一方、「参考人招致で疑惑解明が進まなければ、結果的に、百条委員会という“お白州”に引きずり出される。石原氏は追い込まれた」という指摘もある。
共産党都議団は会見で、あくまで百条委員会設置を訴えた。
都政に詳しい政治ジャーナリストの角谷浩一氏は「石原氏が最高責任者だった事実は変わらない」といい、続けた。
「石原氏は、都庁職員や都議会自民党、企業など、さまざまな名前を挙げながら、混ぜっ返してくるのではないか。仮に豊洲新市場をめぐって便宜供与などを受けた人物がいれば、厳しく責任追及されるべきだ。ただ、見逃してきた石原氏の責任も問われる。そのことを素直に認めながら、『豊洲の闇』の全容解明に協力すべきだろう」
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