朗報!実は「男の脂肪」は簡単に落ちる
無理なく25キロ落とした筆者が語る
年を重ねるにつれ貫禄が出るのはいいが、ベルトの上にはみ出す“おやじ腹”はいただけない。でも面倒な運動はしたくないし、飲みの誘いも断れない。ダイエットなんて遠い話……と諦め気味の男性諸君、大丈夫、男は思い立てばすぐに痩せることができるのだ。
人とのコミュニケーションが苦手で40歳でうつ病を発症、体重が83キログラムまで増えてしまった筆者が、 『なぜ一流の男の腹は出ていないのか?』(かんき出版)にまとめた、2年間で25キログラムを落とした方法を公開。腹が凹めば人生が変わる。それをぜひ体感してほしい。
ついつい宴会で食べすぎた翌日、体重がなんと2キログラムも増えていた……! 慌てて昼食を抜き、夕食を減らし、ほっとひと安心。でも日々こうして努力しているのに、一向に痩せる気配がないのはなぜなのか……。
そんな悩みと脂肪のついた腹を抱えているそこのあなた。その努力、ちょっとズレているのかもしれない。
1日で2キログラムの増加、驚き焦ってしまうのもわかるが、しかしそれを「太った」と安易に捉えるのは間違いだ。肉屋で2キログラムの肉塊を見たことがあるだろうか? そもそもあんな巨大な脂肪のブロックが1日にして体につくわけがないことは明らかである。
この際の体重増加の要因は、胃腸の中に未消化で残っている食物や「体内の水分量の増加」によるもの。塩分を多く摂取すると細胞外の浸透圧が高まり、均衡を取るため体は本能的に水分を多く溜めこむ。塩辛いものを食べると喉が渇くのはこのためだ。つまり、食事で摂った塩分量に比例して水分量が増加し、その分体が重くなっているだけ。時間が経てば徐々に普段の体重に落ち着くのである。
これを太ったと早合点して、翌日に1食抜くなどといった「1日で帳尻を合わせようとする」行為は、最もやってはいけないこと。飢餓から身を守る本能にスイッチが入ってしまい、体が余計な脂肪を蓄え、かえって食欲も増大させてしまうという危険性があるからだ。
ではやっぱり毎日つらい食事制限が必要なのか……と肩を落としたそこのあなた、いやそうではない。実は、きつい運動や厳しい食事制限などせず、ダイエットに関する意識のズレを少々修正するだけで、男は簡単に痩せられる体に変身する。
そう、幸いなことに、“男性は女性よりも脂肪を落としやすい”体質なのだ。「簡単に」と聞いて、眉唾だと感じる人もいるかもしれない。しかし安心してほしい。実は筆者自身、83キログラムという立派なメタボ体型から2年間で25キログラムのダイエットに成功した実績を持っているのである。
体がスリムになったことで自信がついた。周囲の目も変わった。仕事での信頼感もアップし、人とのコミュニケーションがうまくいくようになった。人生自体がスリム化され、劇的に変わったのだ。腹を凹ませたことによるこの好循環を、ぜひすべての男性に体験してほしい。そう思い、男性のための体の絞り方を日々レクチャーしている。
話を元に戻そう。「男性は痩せやすい」。この理由は、男性と女性の脂肪の付き方の違いにある。
一般的に男性は腹回りに「内臓脂肪」がつきやすく、女性は下腹部や腰回り、太ももなどに「皮下脂肪」がつきやすい。よく男性の肥満は「リンゴ型」、女性の肥満は「洋ナシ型」と言われるが、これは男女の太り方の違いをよく表している。
そしてこの「内臓脂肪」は、「皮下脂肪」に比べて血中に溶け出しやすいという特徴を持つ。溶け出した脂肪は燃焼させやすい。つまり、男性は女性に比べて比較的簡単に脂肪を減らすことができるというわけだ。しかも最もつきやすい腹の脂肪は最も落としやすい脂肪でもある。腹を凹ませるということは、思いのほか簡単なことなのだ。
世にあふれているダイエットについての情報は、やはり女性向けのものが多い。男性に適したダイエット法を知ることが、体を絞るいちばんの近道となる。
女性のダイエットに有効なのは「有酸素運動」だが、筋肉量の多い男性に有効なのは「無酸素運動」。負荷の軽い筋トレを続けることが最も効率的なのである。基礎代謝については今後詳しく解説していくが、筋肉を鍛えることが体の基礎代謝を上げ、脂肪燃焼につながるのである。
必要なのは、週に1、2回の激しい運動ではなく、細く長く続ける軽い運動だ。男のダイエットは「一時的に脂肪を落とす」ことではなく、「勝手に脂肪を燃やしてくれる体をつくる」行為であるという意識改革が必要なのだ。
「運動しなければ」と気負うことなく、簡単な運動を日常の行動に組み込むだけで“痩せる体”に変えることができる。ちょっとした工夫で、通勤電車やオフィスをスポーツジムに変身させることができてしまう。
以下に、筆者が実際に行った、電車内でも社内でも手軽にできるエクササイズを紹介する。参考になれば幸いだ。
PC入りの重いカバンを持って通勤している人、それはチャンスだ。これをダンベル代わりにして、上腕二頭筋を鍛えよう。
やり方は簡単。ひじが直角になるようにカバンを持ち、上下にゆっくり小さく動かすだけ。10~20回をワンセット、一日に数回が目安だが、わざわざ重いものを入れたり過度に行うのは禁物。「少し足りない」くらいから始めて徐々に負荷を上げていくのが長続きさせるコツだ。
ちなみに1年間、毎日20回×2セットを行った筆者の写真も掲載しておく。ぷよぷよだった二の腕がこのとおりだ。
通勤に電車を使っているなら、このエクササイズを。両手で2本の、もしくは1本のつり革にぶら下がるような形ではなく軽く握り、下腹部に力を入れてかかとを5ミリ~1センチ浮かせる。揺れも手伝って自然と下腹部に力が入り体幹が鍛えられる。
つらいと感じたら無理せずにかかとを下ろして休んで構わない。たとえば一駅上げたら一駅休む、など自分なりのルールを設け、ゲーム感覚で続けてみると良いだろう。
・席を立つ行為をスクワットに変えるべし
トイレに行く、コピーを取る、給湯室や喫煙室に行く。デスクワーカーでも一日に何度も席を立つ場面があるだろう。このときに意識して、机に手をつかずに立ち上がってみよう。大したつらさは感じないかもしれないが、何度も続けることによってスクワット効果を得ることができる。回数を数えていれば自然とやる気も湧いてくるだろう。
このほか、伝達事項を電話やメールで済ませずに直接席まで足を運ぶ、重いものを運んでいる社員を見つけたらすかさず駆け寄り手伝うなど、意識的に動く場面を増やしていこう。もちろんエレベーターをやめて階段を上り下りする、万歩計をつけるといった定番のアプローチも非常に有効だ。
こうして日々、筋トレできるチャンスをうかがっているうちに、あなたはいつの間にか“フットワークの良い、気の利く人”になっている。
さてちなみに、冒頭のように前日食べ過ぎてしまったシチュエーションでは、どうするのがよいか。
この場合にできることといえば、十分な水分を摂ったうえで、いつもよりもひと駅分多く歩いてみる、ランチにちょっと遠出してみるなど、やはりほんの少し運動量を増やし、体の各器官の働きを正常に戻してやることだ。
また、食事量を減らすのではなく、食べる内容に気をつけたい。たとえば前日にたんぱく質を多く摂りすぎたのであれば体が酸性に傾いているので、カリウムの多い「バナナ」「アボカド」「納豆」「ホウレンソウ」などを食べるとよいだろう。これらは体のPH値を平常値に戻す手助けをしてくれる。
もちろん暴飲暴食はせず、なるべく日々節制に努めることが望ましい。だが、飲みすぎ、食べすぎてしまった際にも自分を必要以上に責めることはない。完璧主義なタイプは、一回の失敗を強く悔み、かえって挫折してしまいがちだ。「そんな日もある」とできない自分を許し、一喜一憂せずに普段の食事・生活ペースを淡々と守ることが大切だ。
「ダイエット」は短期のイベントではない。「生活習慣」として身につけ、長いスパンで取り組むこと、そうすれば「勝手に痩せる体」は自ずと手に入るのである。
次回は自ら運動せずとも“内臓に運動をさせる”方法を公開する。
(構成:山岸美夕紀)