慰安婦像も盛り込み
韓国は国定教科書問題でも
“反日”を手軽に利用する
「竹島の日」の式典会場近くで民族団体のメンバーらともみ合いになる警察官=
22日午前、松江市 (小泉一敏撮影)
韓国の中学校や高校で、2018年度から導入される国定歴史教科書の最終版が1月末、教育省から発表されたが、その内容は昨年11月末に公開された見本版の760カ所に“修正”と加筆をしている。そのうちソウルの日本大使館前に違法設置されている慰安婦像と、慰安婦の体験を記述した部分を紹介したい。修正、加筆されたのは『』の箇所だ。
「市民団体では1992年から毎週水曜デモを開き、継続的に日本政府に問題解決を要求しており、『水曜デモ1千回を記念し平和の少女像を建立した』。政府も被害者(元慰安婦の女性)の名誉回復のために努力している」(中学用)
「日本軍“慰安婦”被害者らは、拒否できない状況の中でむごたらしい苦痛とさげすみを味わい、人権を蹂躙(じゅうりん)された性奴隷だった。中には劣悪な環境の中で疾病、暴行、自殺で死ぬ人も多かった。『その上、戦争に敗け逃げてゆく日本軍に集団で殺害されもした』」(高校用)
こうした記述は、日本統治時代の「民族の抑圧と抵抗」を強調する韓国での“抵抗史観”に基づくものだ。ただ、教科書の最終版は、見本版に対する国民や教員、国会などの意見を受け入れ、世論を反映させている。その結果、反日傾向が一層強められ、「慰安婦像」や「慰安婦の集団虐殺」といった客観性に欠け、事実関係の疑わしい内容が盛り込まれた。
韓国では本来、国定の歴史教科書だけが使用されていた。ところが、左派の盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権(2003~08年)末期の07年に廃止され、検定制に移行。複数の教科書が登場し、全国の学校に採用された。「左派的歴史観」に基づく教科書が多い状況に朴槿恵(パク・クネ)大統領が危機感を抱き、国定教科書の復活に向け、編纂(へんさん)が進められた。これに左派が反発し、15年後半以降、国定教科書をめぐっての騒動が続く。結局、昨年末の朴氏の弾劾訴追もあり、国定教科書は導入時期を1年間延期し、検定版との選択制となった。
客観性は度外視して、日本の抑圧と搾取によく耐え、頑張って解放を勝ち取ったという民族の“あるべき歴史”と抵抗史観に従う。そんな主観的な教科書は、見本版公開から最終版発表までの約2カ月間のうち、1カ月を国民らからの意見収集に割き、残りのわずか1カ月で完成させたという。こうした経緯を見れば、いかに安易に世論に迎合して歴史教科書の修正がなされたのかがうかがえる。
歴史教科書の国定化問題は、韓国で政治、思想の争いに利用された。これまで同様、「反日」は韓国で世論を味方につけられるよう使える、お手軽なテーマなのだ。韓国政府の性急な対応に、その事情が如実に表れている。
歴史認識問題で日本に厳しい韓国だが、それに反して自らの歴史は場当たり的、拙速に色づけられている。歴史的な根拠は世論が納得する解釈に従っていれば、どう直そうが、偏っていようが構わない。“あるべき歴史”を望む世論に、簡単に合わせてしまったかのような姿勢には、奇妙な軽ささえ感じる。
日本の朝鮮半島統治は35年余り。統治から解放されて今年でその倍以上の72年を迎える。にもかかわらず、いまだに「日本に統治された過去」を克服できないのは、韓国にとって日本の存在があまりに大きいからなのかもしれない。
大騒ぎの末に最終決定した国定教科書。選択制のもとで、左傾化が指摘される韓国の教育現場でどれだけ浸透するのかは分からない。盛り込まれた史実や記述の客観性などは関係なく、あくまでも韓国の教育現場が決める。
ただ、教科書問題だけでなく、韓国での日本がからむ歴史認識は、今後も国内の状況次第で、自己都合でさらに変質していく可能性は否定できない。今回の国定教科書をめぐる一連の騒動と、大衆迎合的な最終版での決着がそれを予言している。(ソウル支局長・名村隆寛 なむらたかひろ)
安倍首相が笑う韓国の歴史教科書国定化
日本政府「自虐史観」問題視し露骨に教科書に介入
国民の反対意識強く検定制を維持
「朴大統領は日本の歴史歪曲を批判する資格失う」
「やはり韓国は勝手に学生たちに歴史を教える国だ、そのような認識が日本社会に広がるのではないでしょうか?」
長い間、日本の教科書に対する政府の介入に反対する運動に参加し、退職した高校教師の鈴木敏夫氏(66)は、韓国政府の韓国史教科書の国定化決定に対する意見を問う質問にため息をついた。
鈴木氏の指摘通り、日本のマスコミは韓国と日本の間で、独島(日本名・竹島)や慰安婦問題など、尖鋭な歴史懸案が浮上する度に、その内容を徹底的に教える韓国の学校現場を紹介し、「韓国人の反日感情はこうした反日教育のせいだ」とする見方を示してきた。
鈴木氏は「そのたびに『昔は韓国が教科書国定制を取っていたけど、今は日本のように検定制に変わった』と反論してきたが、もうそれも言えなくなった。韓国が時代に逆行する国定制に戻ったため、『やっぱり韓国はそういう国』という日本の右翼の宣伝材料として活用される可能性が高くなった」と述べた。
朴槿恵(パク・クネ)政権の韓国史国定化への転換の決定について、日韓両国の市民社会では、東アジアの歴史歪曲の主犯として批判される安倍晋三首相さえも実行できない最悪の選択をしたという非難が広がっている。
現在韓日両国の保守政権が自国の歴史教科書について示している根本的な態度は大きく変わらない。
自民党の教育再生実行本部は、2013年6月に「教科書検定の在り方特別部会」の報告書で、「いまだ多くの許可書に自虐史観に強くとらわれている記述がある」と明らかにし、韓国教育部は12日、国定化の切り替えを発表する報道資料で「歴史教科書の場合、事実の記述における誤りと偏向性をめぐる論議が後を絶たなかった」と指摘した。
両国とも現在自国の歴史教科書について「自虐的」であり、「偏向的」であるため、国が介入して、これを正さなければならないという共通認識を持っているのだ。
しかし、実際両国の介入の仕方にはかなりの差がある。露骨に国定化への回帰を選択した韓国とは異なり、日本の介入はもっと内密で遠回しの方法で行われている。
日本で教科書国定化が初めて決定されたのは、日ロ戦争(1904〜1905)直前の1903年からだ。以後、日本の小学校教科書は戦争に出て国のために命を失った「肉弾三勇士」など、様々な戦争美談を盛り込み、学生たちを天皇のために喜んで命を投げ出す軍国少年に育てた。
その反省として、日本では1948年に検定制が導入されてから、国が教科書を通じて国民の考えを制御するのは正しくないという社会的合意に達することになった。
「子どもと教科書全国ネットワーク21」の俵義文事務局長は、「1962年に教科書の無料配布を始めたことをきっかけに、自民党内部で国定化の要求が出てきたが、実現されず、教育再生実行本部でもそのような声があったが、採用されなかった。日本国民がこれを容認しないからだ」と述べた。
そのため、安倍政権は、政権発足後の2012年12月に学習指導要領解説書など、教科書の執筆関連基準を変更したり、右翼教科書の採択率を高めるなど、いくつかの間接的な努力を重ねてきた。
そのため、来年から使用される予定の中学校の教科書には「独島は日本の領土だ。韓国によって不法占拠されている」などの記述が盛り込まれるなど、全体的な歴史叙述が大きく後退した。
これと共に右翼教科書である「育鵬社」の教科書の採択率は4年前の4%から今年6.2%(歴史)に上昇した。
朴槿恵政権の韓国史国定化決定は、これまで、世界の舞台で苦労して積み上げてきた韓国の国としての品格を大きく損なうものとして懸念されている。ト・ジョンファン新政治民主連合「韓国史教科書国定化阻止特別委員会」委員長は「国連も2013年の第68回総会で、様々な教科書で歴史教育を行うべきだという内容の『歴史教育指針』を発表したしたのに、朴政権は結局、歴史の時計を過去に戻した。国際社会に対して恥ずかしいことだ」と述べた。
世界の教科書制度を研究してきたパン・ジウォン新羅大学教授の研究によると、経済協力開発機構(OECD)34カ国のうち17カ国が自由発行制、4カ国が認定制、13カ国が検定制を維持している。パン教授は「世界で国定制に基づいて教科書を発行する国は、北朝鮮やバングラデシュ、一部のイスラム国家だけだ」と指摘した。
韓国史国定化が韓国社会内部の理念論争を超え、韓日関係全般にも長期的に大きな負担をもたらす可能性もある。イ・シンチョル成均館大学東アジア歴史研究所教授は「これまで韓国の市民社会は日本の教科書への国の介入を批判してきたのに、
今回のことで批判の根拠が大きく
失われる危機を迎えた。
両国で国家主義的な歴史記述が強化されれば、歴史の記述はますます悪化し、東アジア平和の障害となるだろう」と述べた。
東京/キル・ユンヒョン特派員、チョン・ジョンユン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2015-10-13 19:37
①韓国の歴史教科書捏造問題 崩壊する民族教育!!
②韓国のr歴史教科書捏造問題 人類の起源は韓国!!
③韓国の歴史教科書捏造問題 韓国人の不都合な真実!!
【慰安婦問題】韓国の教科書教育は歪曲、ねつ造だらけ