北東アジア波高し
大韓海峡上空に韓中日の軍用機50機出動
日本はF-15J戦闘機12機
F-2支援戦闘機12機など26機!
今月9日午前から午後にかけて、離於島(中国名:蘇岩礁)や大韓海峡(対馬海峡)付近など韓半島(朝鮮半島)周辺では、
韓中日の戦闘機や爆撃機、偵察機などおよそ50機の軍用機が緊急発進などし、
互いに編隊を組んで近接飛行するという、あまり例のない事態が繰り広げられた。
戦略爆撃機6機を含む中国軍機の編隊が韓日の防空識別圏に入り込んだことで生じた事態だ。
昨年末から、中国の空母が西海(黄海)・南シナ海で訓練を行い、米国が空母打撃群(CSG)を西太平洋へ派遣するなど北東アジアの緊張の波は高まりつつあり、北朝鮮による大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射の脅し、韓日に対する中国軍機の挑発などでその波はさらに高くなっている。
韓半島周辺の空と海を舞台に、米中日の列強による角逐が激しくなっている恰好だ。
ユ・ヨンウォン記者 , 金真明(キム・ジンミョン)記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
韓中日の戦闘機や爆撃機、偵察機などおよそ50機の軍用機が緊急発進などし、
互いに編隊を組んで近接飛行するという、あまり例のない事態が繰り広げられた。
戦略爆撃機6機を含む中国軍機の編隊が韓日の防空識別圏に入り込んだことで生じた事態だ。
昨年末から、中国の空母が西海(黄海)・南シナ海で訓練を行い、米国が空母打撃群(CSG)を西太平洋へ派遣するなど北東アジアの緊張の波は高まりつつあり、北朝鮮による大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射の脅し、韓日に対する中国軍機の挑発などでその波はさらに高くなっている。
韓半島周辺の空と海を舞台に、米中日の列強による角逐が激しくなっている恰好だ。
ユ・ヨンウォン記者 , 金真明(キム・ジンミョン)記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
■中国の爆撃機6機、異例の出動
中国の爆撃機などが離於島周辺の韓国の防空識別圏(KADIZ)に事前通知なく入り込んだことを韓国軍のレーダーが捉えたのは、9日午前10時ごろだった。爆撃機や海上哨戒機などおよそ10機に上る、異例の大編隊だった。
昨年2月と8月にも中国軍機がKADIZに入り込んだことがあるが、2月は2機、8月は3機というレベルだった。
防空識別圏は、国際法上の領空ではないが、ここに入る外国の航空機は管轄国に事前通告するのが慣例だ。
そのため韓国空軍は、大邱基地のF15K、忠州基地のKF16などおよそ10機の戦闘機を緊急発進させた。これらの戦闘機は済州島南方へ向かい、中国軍機と近接飛行して動静を監視した。
中国軍機のうち8機は大韓海峡を経て東海(日本海)まで北上し、日本の防空識別圏に入り込んだ。
すると日本も、F15J戦闘機12機、F2支援戦闘機12機など26機を緊急発進させて対応したという。
韓国空軍は、これら中国軍機に警告通信を送った。
空軍中央防空統制所(MCRC)も、中国・済南軍区の防空センターとつながるホットラインを利用して警告のメッセージを発信した。中国軍機は、警告通信を受けてKADIZを出たが、しばらくして再び入り込み、韓国軍の警告によってまた外へ出るという姿を見せたという。
韓国軍の消息筋は「中国側は『今回の飛行は訓練』と回答した」と伝えた。中国軍機は9日午後3時ごろまで、4-5時間にわたりKADIZを侵犯した後、引き揚げた。
中国軍機による韓日の防空識別圏侵犯は、まず「南シナ海問題などで神経戦を繰り広げている米国と日本に対する武力の誇示」という性格が強いと分析されている。キム・ドンヨプ慶南大学教授は「南シナ海問題に関して、米国と日本にメッセージを伝えようとする狙い」と語った。
また、米国が在韓米軍への高高度防衛ミサイル(THAAD)配備を予定通り進めていることに対する不満の表れという可能性もある、と指摘されている。金聖翰(キム・ソンハン)高麗大学教授は「中国は防空識別圏の問題も韓米日対中国という構図で見ている。中国は同時多発的な警告を送った」と語った。
日本の軍事専門家らは「力で現状を変更しようとする中国の意図が背景にある」と分析している。伊藤俊幸・元海自呉地方総監(元海将)は、産経新聞のインタビューで「中国は明確な意図を持って行動しており、こうしたことが繰り返されると、いずれ日本の領海にも中国の艦艇が入り込みかねない」と語った。
中国の爆撃機などが離於島周辺の韓国の防空識別圏(KADIZ)に事前通知なく入り込んだことを韓国軍のレーダーが捉えたのは、9日午前10時ごろだった。爆撃機や海上哨戒機などおよそ10機に上る、異例の大編隊だった。
昨年2月と8月にも中国軍機がKADIZに入り込んだことがあるが、2月は2機、8月は3機というレベルだった。
防空識別圏は、国際法上の領空ではないが、ここに入る外国の航空機は管轄国に事前通告するのが慣例だ。
そのため韓国空軍は、大邱基地のF15K、忠州基地のKF16などおよそ10機の戦闘機を緊急発進させた。これらの戦闘機は済州島南方へ向かい、中国軍機と近接飛行して動静を監視した。
中国軍機のうち8機は大韓海峡を経て東海(日本海)まで北上し、日本の防空識別圏に入り込んだ。
すると日本も、F15J戦闘機12機、F2支援戦闘機12機など26機を緊急発進させて対応したという。
韓国空軍は、これら中国軍機に警告通信を送った。
空軍中央防空統制所(MCRC)も、中国・済南軍区の防空センターとつながるホットラインを利用して警告のメッセージを発信した。中国軍機は、警告通信を受けてKADIZを出たが、しばらくして再び入り込み、韓国軍の警告によってまた外へ出るという姿を見せたという。
韓国軍の消息筋は「中国側は『今回の飛行は訓練』と回答した」と伝えた。中国軍機は9日午後3時ごろまで、4-5時間にわたりKADIZを侵犯した後、引き揚げた。
中国軍機による韓日の防空識別圏侵犯は、まず「南シナ海問題などで神経戦を繰り広げている米国と日本に対する武力の誇示」という性格が強いと分析されている。キム・ドンヨプ慶南大学教授は「南シナ海問題に関して、米国と日本にメッセージを伝えようとする狙い」と語った。
また、米国が在韓米軍への高高度防衛ミサイル(THAAD)配備を予定通り進めていることに対する不満の表れという可能性もある、と指摘されている。金聖翰(キム・ソンハン)高麗大学教授は「中国は防空識別圏の問題も韓米日対中国という構図で見ている。中国は同時多発的な警告を送った」と語った。
日本の軍事専門家らは「力で現状を変更しようとする中国の意図が背景にある」と分析している。伊藤俊幸・元海自呉地方総監(元海将)は、産経新聞のインタビューで「中国は明確な意図を持って行動しており、こうしたことが繰り返されると、いずれ日本の領海にも中国の艦艇が入り込みかねない」と語った。
■米中の空母機動部隊がにらみ合う可能性
専門家らは、今回の中国軍機による防空識別圏侵犯が、空母「遼寧」機動部隊による異例の武力の誇示などで緊張が高まっている最中に行われたという点に注目している。
中国初の空母「遼寧」は昨年12月、西海での訓練に続いて東シナ海、西太平洋を航行し、南へ移動して南シナ海で艦載機の離着艦などの訓練を行った。
中国の空母としては初の訓練だ。韓米日の軍当局は、遼寧が予想より早く戦力化しつつあることに驚いている。
これに合わせて米国は今月5日、
サンディエゴからカール・ビンソンCSGを出港させた。
空母カール・ビンソン(10万トン)は遼寧(6万7000トン)よりはるかに大きい。
艦載機の数(およそ80機)も、遼寧(およそ40機)より多い。イージス艦などおよそ10隻の護衛・支援艦艇を従えて動く。
カール・ビンソンCSGが西太平洋に配備されれば、横須賀に配備されたロナルド・レーガンCSGと合わせ、米国は二つの空母機動部隊を西太平洋水域に配備することになる。
一部からは、米国のCSGと中国の「遼寧」機動部隊が同じ時期に武力の誇示で張り合う可能性も提起されている。
北東アジア列強間の緊張の波が高まる中、2-3月に予定されている韓米合同軍事演習に対抗して北朝鮮がICBMを発射する可能性がある。
こうなると、韓半島の安全保障の状況はさらに予測が難しい方向へと悪化する。
米国の国防長官は、北朝鮮のミサイルを迎撃する可能性にも言及している。
しかし韓国国内では権力の空白期と重なり、場合によっては韓国の手を離れたまま状況が展開しかねない格好になっている。
専門家らは、今回の中国軍機による防空識別圏侵犯が、空母「遼寧」機動部隊による異例の武力の誇示などで緊張が高まっている最中に行われたという点に注目している。
中国初の空母「遼寧」は昨年12月、西海での訓練に続いて東シナ海、西太平洋を航行し、南へ移動して南シナ海で艦載機の離着艦などの訓練を行った。
中国の空母としては初の訓練だ。韓米日の軍当局は、遼寧が予想より早く戦力化しつつあることに驚いている。
これに合わせて米国は今月5日、
サンディエゴからカール・ビンソンCSGを出港させた。
空母カール・ビンソン(10万トン)は遼寧(6万7000トン)よりはるかに大きい。
艦載機の数(およそ80機)も、遼寧(およそ40機)より多い。イージス艦などおよそ10隻の護衛・支援艦艇を従えて動く。
カール・ビンソンCSGが西太平洋に配備されれば、横須賀に配備されたロナルド・レーガンCSGと合わせ、米国は二つの空母機動部隊を西太平洋水域に配備することになる。
一部からは、米国のCSGと中国の「遼寧」機動部隊が同じ時期に武力の誇示で張り合う可能性も提起されている。
北東アジア列強間の緊張の波が高まる中、2-3月に予定されている韓米合同軍事演習に対抗して北朝鮮がICBMを発射する可能性がある。
こうなると、韓半島の安全保障の状況はさらに予測が難しい方向へと悪化する。
米国の国防長官は、北朝鮮のミサイルを迎撃する可能性にも言及している。
しかし韓国国内では権力の空白期と重なり、場合によっては韓国の手を離れたまま状況が展開しかねない格好になっている。
中国空母が台湾を1周
蔡政権をけん制か
台湾の国防部は、先月初めて太平洋に出た中国海軍の空母が台湾海峡を北に向かって航行していると発表し、台湾の周りを1周した形となったことから、現地のメディアは、中国が「1つの中国」の考え方を受け入れていない蔡英文総統をけん制したという見方を伝えています。
台湾の国防部は、中国海軍の空母「遼寧」が11日朝、台湾海峡の中間線の西の海域を北に向かって航行していると発表し、日本時間の午後8時の時点では、中国の福健省の沖を北上しているということです。
このあと北上を続けて中国の基地に入ると見られるということで、台湾の国防部は監視を続けています。
空母は先月25日に沖縄本島と宮古島の間を通過して初めて太平洋に出たあと、台湾とフィリピンの間のバシー海峡を通って南シナ海に入り、艦載機の発着を伴った本格的な訓練を行っていました。
およそ3年前にも台湾海峡を通過したことがありますが、今回は台湾の周りを1周した形となります。
中国は、「1つの中国」の考え方を受け入れていない蔡英文総統が先月、アメリカのトランプ次期大統領と異例の電話会談を行ったことや、今月7日、中米諸国の訪問に先立ってアメリカに立ち寄ったことに神経をとがらせていて、台湾のメディアは、中国が空母を使って蔡政権をけん制したという見方を伝えています。
このあと北上を続けて中国の基地に入ると見られるということで、台湾の国防部は監視を続けています。
空母は先月25日に沖縄本島と宮古島の間を通過して初めて太平洋に出たあと、台湾とフィリピンの間のバシー海峡を通って南シナ海に入り、艦載機の発着を伴った本格的な訓練を行っていました。
およそ3年前にも台湾海峡を通過したことがありますが、今回は台湾の周りを1周した形となります。
中国は、「1つの中国」の考え方を受け入れていない蔡英文総統が先月、アメリカのトランプ次期大統領と異例の電話会談を行ったことや、今月7日、中米諸国の訪問に先立ってアメリカに立ち寄ったことに神経をとがらせていて、台湾のメディアは、中国が空母を使って蔡政権をけん制したという見方を伝えています。
中国外務省「正常な行為」
中国外務省の劉振民次官は11日に北京で行った記者会見の中で、「台湾海峡は中国大陸と台湾の間の国際海峡であり、『遼寧』が訓練の過程で台湾海峡を行ったり来たりするのは正常な行為だ。中国と台湾の関係に何ら影響を及ぼすことはない」と述べて、正当な訓練だと強調しました。
専門家 “台湾問題で絶対譲歩せず”示したか
中国海軍の空母が台湾の周りを一周するように航行したことについて、中国の防衛駐在官を務めたことがある専門家は、アメリカのトランプ次期大統領の就任を前に台湾問題では絶対に譲歩しないという強い姿勢を示したと見られると指摘しています。
元海上自衛官で、中国の防衛駐在官を務めた東京財団の小原凡司研究員は、中国の空母について、「実際に戦闘に使うというよりも、他国に対して圧力を示し、有利な地域情勢を作り出すことによって、自国の経済利益などを守ろうという狙いがあると見られる」と指摘しています。
そして、今回、空母が台湾の周りを一周するように航行したことについては、1996年に中国がミサイル演習をした際、アメリカが空母2隻を派遣した「台湾海峡危機」が背景の1つにあると指摘したうえで、「『台湾海峡危機』は中国にとって大きなトラウマになっている。こうした中でアメリカのトランプ次期大統領が『1つの中国の考え方を認めるかどうかは、経済問題で中国が譲歩するかどうかだ』という趣旨の発言をしていることに、中国は危機感を強めていて、トランプ氏の大統領就任前に、台湾問題では絶対に譲歩しないという強い姿勢を示す目的があったと見られる」と指摘しています。
そのうえで、「中国が台湾問題以外でアメリカに何らかの譲歩した場合は、その分をほかで取り戻すため、日本にとって不利な地域情勢が中国によってつくられる可能性がある。中国がアメリカにどのように対応するのか注視する必要がある」と話しています。
元海上自衛官で、中国の防衛駐在官を務めた東京財団の小原凡司研究員は、中国の空母について、「実際に戦闘に使うというよりも、他国に対して圧力を示し、有利な地域情勢を作り出すことによって、自国の経済利益などを守ろうという狙いがあると見られる」と指摘しています。
そして、今回、空母が台湾の周りを一周するように航行したことについては、1996年に中国がミサイル演習をした際、アメリカが空母2隻を派遣した「台湾海峡危機」が背景の1つにあると指摘したうえで、「『台湾海峡危機』は中国にとって大きなトラウマになっている。こうした中でアメリカのトランプ次期大統領が『1つの中国の考え方を認めるかどうかは、経済問題で中国が譲歩するかどうかだ』という趣旨の発言をしていることに、中国は危機感を強めていて、トランプ氏の大統領就任前に、台湾問題では絶対に譲歩しないという強い姿勢を示す目的があったと見られる」と指摘しています。
そのうえで、「中国が台湾問題以外でアメリカに何らかの譲歩した場合は、その分をほかで取り戻すため、日本にとって不利な地域情勢が中国によってつくられる可能性がある。中国がアメリカにどのように対応するのか注視する必要がある」と話しています。
【スクランブル発進】航空自衛隊が大規模スクランブルでネットがざわつく【2017年1月9日】