公明が援軍!
小池氏、ドン掃討開始
都議会自民と決別
「知事と手を組んだ方が有利と判断」
東京都の小池百合子知事による、「旧体制」打破が前進した。都議会公明党が長年続けてきた、「都議会のドン」こと内田茂都議率いる都議会自民党との連携解消を表明したのだ。小池氏の知事給与半減を受け、都議会公明党は「議員報酬2割削減案」を作成したが、ドン一派と対立したという。今後、都議会公明党は小池氏と歩調を合わせる見込み。来年夏の都議選を見据えて、「小池改革派vsドン守旧派」の死闘が展開されそうだ。
「今まで自民、公明の連立でやってきたが、独自の改革を進める」
都議会公明党の東村邦浩幹事長は14日、こう言い切った。石原慎太郎都政以来続いてきた旧来の「知事与党」の枠組みが解消された。
議員報酬削減案は、小池氏が都知事選で「都政改革の姿勢を示す」「知事給与を半減させる」と訴えて当選し、年収約2900万円から半減(約1450万円)させたことを受けて浮上した。
都議の年収は約1700万円(全国1位)で、激務の小池氏より約250万円も高い異常事態が生じた。小池氏は、豊洲新市場の「盛り土」未実施問題のケジメとして、知事給与をさらに約1395万円まで減額する条例改革案を提出したため、都議会側も「待ったなし」になっていた。
注目の議員報酬削減案は、主要会派の代表が議会改革を話し合う検討会(11月18日)で議論される予定だった。だが、検討会前に「議員報酬を2割削減の約1366万円とし、月額60万円の政務活動費を50万円に減額する」という公明党案が報道され、都議会自民党などが猛反発していた。
前出の東村氏の説明によると、その後、自民党側から「公明案を修正するか、検討会に公明党が参加しないか」を求められたという。まるで脅しだ。公明党は「修正には応じられない」とし、14日の議会運営委員会の理事会で、検討会からの離脱を表明した。
小池氏が仕掛けた「踏み絵」で、都議会の構図は大きく変わりそうだ。
事実上、都議会公明党が「小池与党」入りを宣言したともいえる。
小池氏も14日、報道陣に「都民ファーストが(公明党にとっての)役割とお考えならいい方向だ。意欲は大変歓迎したい」と応じるなど、急速に関係を深めている。
ただ、定数127人(過半数64)の都議会で、最大会派はドン・内田氏率いる自民党で60人である。都議会公明党(23人)に、小池氏に近いとされる「かがやけTokyo」(3人)や、都議会民進党(14人)、民進党都議団(4人)を合わせても44人で、過半数には足りない。
やはり、小池氏としては来年夏の都議選前に「小池新党」を立ち上げて、都議会の主導権を握るしかない。
「自公分裂」の背景にも、都議選を見据えた狙いが感じられる。小池氏の人気が高いなか、都議会公明党としては、「守旧派」イメージが高い都議会自民党と距離を置きたかったのではないか。
ドン・内田氏も崖っぷちだ。
地盤の千代田区は定数1で、公明党の支援も受けて当選を重ねてきたが、来年夏の都議選ではもう期待できない。都政関係者は「内田氏の当選は厳しい」と語った。
自民党幹部は「来年夏の都議選が絡み、各会派によるチキンレースになっている」と述べた。
今後、都政や都議会はどうなりそうか。
都政に精通する政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏は「都議会公明党にとって都議選での勝利は絶対であり『常に与党でなければならない』という思いからの行動だろう」といい、続けた。
「このまま都民の批判にさらされる都議会自民党と一緒にいるより、小池氏と手を組んだ方が有利と判断したようだ。大切なのは選挙後、都議会公明党がどう動くかで、“反小池”に転じる可能性は十分ある。都議選で候補者擁立を目指す小池氏にとっても、都議会公明党との選挙区調整など頭の痛い課題が持ち上がる。手放しでは喜べないのではないか」
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