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「実はリスクだらけ」富裕層のタックスヘイブン〝脱法〟課税逃れ 国税当局の「網」は甘くない

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「実はリスクだらけ」富裕層のタックスヘイブン〝脱法〟課税逃れ 国税当局の「網」は甘くない

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 タックスヘイブン(租税回避地)の利用実態を暴露した「パナマ文書」が、国内外の話題をさらったのは記憶に新しい。グローバル企業や富裕層だけがタックスヘイブンを使って違法スレスレの課税逃れができる「現実」がクローズアップされた。それを目の当たりにして、所得格差が広がる日本でも「持てる者」と「持たざる者」との不公平感が高まっている。専門家はこうした安易な〝節税〟策に警鐘を鳴らすが…。
ある富裕層の想定例
 〈多額の金融資産をもつ関西在住の男性Aさんが大阪市内の税理士事務所を訪れ、こんな相談をした。
 Aさん「数年前からタックスヘイブンに登記した資産管理会社名義でシンガポールの投資銀行に200万ドル(約2億1千万円)を預けて運用しているが、現地に貯まっている利子・配当を日本へ戻したい」
 税理士「これまで財産や利子・配当を申告していますか」
 Aさん「ばれないと思ってしていない」
 税理士「必ず税務調査が入って追徴課税されます。私たちにはどうしようもありませんね」〉
 国税関係者は「これは極端な例」と前置きしながらも、パナマ文書流出のニュースに触れた富裕層によるこうした事態を想定する。
 利子・配当に税金がかからないタックスヘイブンに隠したつもりの資産と、その資産が生み出す利子・配当が日本の国税当局に必ず把握されるのにはワケがある。国内の金融機関は、100万円を超える金額を海外へ送金したり、海外からの送金を受け取ったりした場合に「国外送金等調書」を口座の持ち主の住所を管轄する税務署へ提出する義務があるためだ。
すぐに資産露見、税務調査へ
 Aさんの場合、調書には相手国としてシンガポールが明記され、送金者である資産管理会社と投資銀行の名称、送金金額などが記載される。調書を受け取った税務署は、Aさんに送金の具体的な取引内容を確認するための文書を送付する。
 これまでAさんが利子・配当の確定申告や国外財産の届け出をしていないことが容易に判明するため、すぐさま税務調査が入ることになる。
 タックスヘイブンに法人を設立し、法人名義でお金を預けること自体は違法ではない。しかし、Aさんが法人から利子・配当を受け取っていなくても、日本の国税当局はAさんが日本で収入を得たものとして所得税を課税できる。
 資産課税に詳しい金井義家公認会計士・税理士は「タックスヘイブンに資産管理会社をつくっても日本政府の課税権は消えないので、まじめに申告していたらメリットは皆無。ということは、タックスヘイブンに会社に持っている人は怪しいわけで、所得税や相続税を脱法的に免れている可能性がある」と指摘する。このため、「パナマ文書に名前が出てくる大企業や個人の大半は『シロ』だが、個人の中に『クロ』が必ずいる」とみる。
政治家やスターの名前
 パナマ文書とは、ICIJ(国際調査報道ジャーナリスト連合)が5月10日、ウェブサイトで全世界に向けて公表した1150万件の膨大な資料を指す。タックスヘイブンの一つ、パナマに所在するモサック・フォンセカという法律事務所から内部告発者が持ち出した40年間にわたる租税回避の記録だ。
 世界には、国の規制や法律の効力が届かず、非居住者に対する税金がほとんどかからない「オフショア」と呼ばれる地域があり、タックスヘイブンはその一形態だ。富裕層たちは正体を隠して財産を預けるためにオフショアを利用するのだが、そもそもオフショアは規制や法律の庇護下にないという矛盾をはらむ。
 そこで富裕層たちがオフショアに財産を安心して隠せるようにするためのサービスを提供するのが、モサック・フォンセカをはじめとする法律事務所やグローバルな会計事務所だ。
 パナマ文書には、モサック・フォンセカの顧客である約140人の政治家や官僚らの名前、200カ国・地域の人物に関係する21万4千社超の法人が含まれている。ウクライナ大統領、サウジアラビア国王のほか、ロシアのプーチン大統領の知人や中国の習近平国家主席の親族らが名を連ね、サッカーのスーパースター、メッシ選手と父親の名前も見つかっている。
 中には400以上の日本人や日本関連企業に関する資料もあった。警備業大手セコムの創業家やUCCホールディングス社長、楽天の三木谷浩史会長兼社長らが名を連ねた。年金消失事件で実刑判決を受け、先月収監された旧AIJ投資顧問の浅川和彦元社長も「タックスヘイブンに設立された法人の株主としてパナマ文書に記録されている」とロイター通信などが報じている。
合法だが「不公平」
 こうしたタックスヘイブンを経由してグローバル金融機関に資金を預けることができるのは一握りの富裕層だけ。日本人が日本に居住しながら海外の金融機関で資産運用するケースでは最低でも100万ドルは必要だ。
 また、世界各国が投資を呼び込むために法人税率引き下げや特定の所得の税制優遇を競う競争が繰り広げられた結果、いずれの国でも税収が減っている。それを補うために、低所得者ほど負担が重い消費税の税率が引き上げられてきた。
 英国人ジャーナリスト、ニコラス・シャクソン氏は著書『タックスヘイブンの闇』(2011年)で「オフショアの仕組みは途上国の課税基盤を蝕み、貧富の格差を拡大させている。オフショアに集まった巨額の登記マネーがリーマン・ショックを引き起こした」と厳しく批判している。
 各国課税当局も手をこまねいているわけではない。6月30日から7月1日にかけて京都で開かれた経済協力開発機構(OECD)租税委員会では、加盟国が悪質なタックスヘイブンをブラックリストで名指しするための基準を策定することで合意した。
 具体的には、各国間で非居住者の銀行口座情報を自動的に交換する枠組み(2017年スタート)に参加しているか▽租税情報を交換する条約に署名しているか▽既存の情報交換協定に対する取り組みが十分と評価されているか-の3項目を設けることで合意。原則として2項目を満たさなければブラックリストの掲載対象となる。リストは来年にも作成し、制裁を科すことも検討するという。
 これまではOECDが課税逃れ対策を講じても、肝心のタックスヘイブンの協力が得られなかった。今回のブラックリスト基準の策定により、OECDはタックスヘイブンが制裁を恐れて情報交換に応じることを期待するが、80年の歴史をもつタックスヘイブンが協力姿勢に転じるか否かは不透明だ。
狭まる法律の「網」
 実は、国税当局が富裕層の海外資産の全体像を正確に把握することは容易ではない。
 平成26年から5千万円超の海外資産には「国外財産調書」の提出が義務づけられ、虚偽記載や未提出には罰則規定も盛り込んだ。しかし、27年に提出されたのは全国で8184件、総財産3兆1150億円。ある税理士は「故意、過失を含め提出してない人が多いのではないか」と話す。
 海外に日本の調査権は及ばないため、金融機関の口座や不動産登記を直接調べることはできない。
 こうした難点を補完するための仕組みが、OECD租税委で合意した各国間の情報交換とブラックリスト制度なのだ。
 加えて、政府は法整備を急いでおり、OECD租税委の議長を務めた浅川雅嗣財務官は6月の講演で「来年度もかなり税制改正がある」との見通しを語った。法の「網」は徐々に狭められているといえる。
日本の富裕層は…
 ひるがえって日本国内の富裕層はどうなっているのか。金井氏は「相続対策を失敗するケースが少なくない。海外を利用した相続対策は本当はリスクだらけ」と指摘する。
 海外の金融機関は、日本には存在しない魅力的な保険商品や信託を用意している一方で、自己責任の原則と語学の問題が立ちはだかる。不動産投資も高い利回りが期待できる半面、信頼できる仲介者が極めて限られていたり、情報、土地勘が不足していたりするデメリットは無視できないという。
 海外に預けた金融資産や不動産が生み出す利子・配当や地代家賃は、日本で所得税と住民税が課税される。国内の金融機関で得た利子・配当には分離課税(他の所得と合算せずに課税)で税率20%であるのに対し、海外から得た利子・配当や地代家賃には総合課税で10~55%の累進税率が適用される。
 また、相続税や贈与税が無いか税率が非常に低い国・地域に移住(1年の半分以上を過ごす)して、海外資産に対する課税を回避する場合でもハードルはかなり高い。日本で課税されないためには被相続人(贈与者)と相続人(受贈者)いずれも移住して5年経過することが必要だ。
 金井氏は強調する。
 「日本に住んで、政府に守られて日々安心して暮らせる。日本に税金を納めるのは当然のことだ」
【関西の議論】「実はリスクだらけ」富裕層のタックスヘイブン〝脱法〟課税逃れ 国税当局の「網」は甘くない




「パナマ文書」流出 脱税の温床!?タックスヘイブン 2016 4



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