慰安婦問題
韓国の反日物語の嘘を暴け
【iRONNA発】
3年半ぶりとなった日韓首脳会談は結局、慰安婦問題で終始した。両国が歩み寄る絶好の機会だったにもかかわらず、会談後も交わる気配はない。事実と違うことを世界に広める「プロパガンダ」を続ける隣国の姿勢に誰が納得できようか。日韓関係をこじらすこの問題の「真実」に迫るべく、アメリカのジャーナリストが立ち上がった。(iRONNA)
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11月2日、日韓の首脳会談が3年半ぶりに開かれた。しかし、なおも「慰安婦問題」では両国の歩み寄りはなく、未解決のままだ。日韓外務省の局長級協議は開かれたものの、解決の糸口は見いだせていない。朴槿恵(パク・クネ)大統領が執拗(しつよう)に慰安婦問題にこだわる理由はどこにあるのだろうか。
朴大統領の最近の発言をいくつか拾ってみる。「慰安婦問題については、既に生存者は52人しかいない。亡くなる前に、被害者に癒やしと名誉回復をするのが日本の義務だ」「被害者が受け入れ、韓国民が納得できる解決策をできるだけ早く示すことが重要」だという。「問題の所在は日本側にあるのだから、その解決策を示しなさい、許すかどうかはわれわれが判断します」ということか。
しかし、日本政府は1965年の日韓請求権協定で、慰安婦問題は「完全かつ最終的に解決」しているとの立場を崩していない。今回の首脳会談でも安倍晋三総理はこの件に関して一歩も譲っていない。日本政府は65年以後も韓国側の求めに応じて、アジア女性基金を通じて元慰安婦への償い金を支払い、かつ総理大臣のおわびの手紙も届けている。
にもかかわらず、韓国側は政権が変わるたびにゴールポスト(完全解決)の位置を変え、何度も慰安婦問題を蒸し返してきた。これに対しても、安倍総理は「大切なことは、お互いに合意をすれば、その後はもうこの問題は再び提議しない」とくぎを刺している。今や慰安婦問題は、単に「反日」をベースにした外交カードでしかなかったことが明白ではないか。
「ライダイハン」問題
一方、朴大統領は国連総会でも「戦時中の女性に対する性暴力は、時代や地域に関係なく、人権、人道主義に反する行為だ」と述べた。ならば、ベトナム戦争当時、韓国軍兵士から性暴力を受けたというベトナム人女性の訴えに対して、真摯(しんし)に謝罪すべきではないのか。
韓国軍は64年から73年までの参戦時に、延べ32万人を派兵した。韓国軍兵士がベトナム人女性に産ませた混血児「ライダイハン」問題は、現在もベトナムを苦しめているのだ。
また、日本軍に関する慰安婦問題ばかり指摘されるが、米軍慰安婦問題は韓国内で問題視されないのだろうか。2014年6月、元米軍慰安婦122人が人権侵害で韓国政府に国家賠償を求めて集団提訴した。
朝鮮戦争時(1950~53年)に軍管轄の慰安所があり、戦争終結後も90年代に至るまで、売春街(基地村)に米軍慰安婦がいたことはよく知られている。朴槿恵大統領の父、朴正煕大統領(当時)が、米軍のために進めた政策だということは既に週刊誌などで報道されている。
「女性の人権」という観点で問題提起するならば、これらを同じ土俵で論じるべきだ。さらに、中国や韓国によって作られた「反日物語」、すなわちプロパガンダの問題がある。米ジャーナリスト、マイケル・ヨン氏は過去数年にわたり、フィリピン、タイ、ミャンマー、オーストラリア、インドネシア、マレーシアなどで慰安婦問題の調査を続けている。
解決策の議論を
アジアのすべての国が20万人に及ぶ「性奴隷」を誘拐したという理由で日本へ憎悪と怨恨(えんこん)を抱いている、というプロパガンダの真実の姿を調べるためである。
歴史の事実や真実を探ることは大切だ。だが、それをプロパガンダに利用することは慎むべきであろう。歴史は現在の価値観から解釈すべきではないし、そうでなければ「やった」「やられた」という国家や民族の怒りの連鎖は静まることがない。ヨン氏が進めるアジア各国での調査は、真に歴史と向き合う姿勢を提示している。事実を知り、その解決策をこそ議論すべきであろう。プロパガンダにはもううんざりだ。
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【プロフィル】前田守人 まえだ・もりと 月刊『Voice』編集長。昭和40年、鹿児島県生まれ。大学卒業後、PHP研究所に入社。雑誌編集者を経て、ビジネス書籍の編集に携わる。ムック本やペーパーバックスなどのシリーズを立ち上げ、ビジネス新書として発刊した『伝える力』(池上彰著)がミリオンセラーに。平成24年から現職。