北海道近海で
中国漁船が倍増
昨年の倍約350隻に
海上自衛隊のP-3C哨戒機が警戒監視!
日本周辺の警戒監視をしている海上自衛隊の哨戒機が今年1~10月中旬、
北海道近海で確認した中国漁船の数が、
昨年1年間の2倍近い延べ約350隻
北海道近海で確認した中国漁船の数が、
昨年1年間の2倍近い延べ約350隻
に上っていることがわかった。
中国が経済発展に伴い、北太平洋でサンマなどを捕獲する動きを強め、増加したとみられる。
海自が5日に読売新聞などに公開した訓練飛行でも、 北海道・襟裳岬の南西約100キロ沖で中国漁船が確認された。
警戒監視は八戸航空基地のP3C哨戒機が担当。中国漁船は2013年、14年はそれぞれ延べ約200隻だったが、今年は10月15日までに同約350隻に上る。
警戒監視は八戸航空基地のP3C哨戒機が担当。中国漁船は2013年、14年はそれぞれ延べ約200隻だったが、今年は10月15日までに同約350隻に上る。
見つかるのは北海道南方の太平洋や、西方の日本海。
海自幹部は「発見した漁船は、全体の一部に過ぎない」と語る。韓国や台湾の漁船も確認されたが、隻数はいずれも年に10隻未満だった。
手前は海上保安庁の船
今か今かと待ちわびた宮古のサンマが送られてこなかったワケ~日本の漁業を脅かす大型中国船の乱獲
岩手県宮古市に住む友人から「宮古産のサンマを送ったから」という連絡をもらった。宮古といえば全国有数のサンマ水揚量を誇る漁港である。この時期の脂が乗った宮古のサンマを毎年楽しみにしている人は多い。
友人は地元の郵便局の「サンマゆうパック」を利用して、サンマを送ってくれたという。サンマゆうパックは、郵便局に申し込みを済ませると、水揚げがあった順に水産業者が直接全国に発送してくれるという仕組みである。
友人は地元の郵便局の「サンマゆうパック」を利用して、サンマを送ってくれたという。サンマゆうパックは、郵便局に申し込みを済ませると、水揚げがあった順に水産業者が直接全国に発送してくれるという仕組みである。
しかし、「送られた」はずのサンマがなかなか届かない。
友人に確認してみたところ、次のようなことが分かった。
友人に確認してみたところ、次のようなことが分かった。
「今年は小型のサンマしか穫れないので、業者が発送できないらしい」
宮古のサンマ水揚量は激減
友人は、次のような宮古の実情を話してくれた。
水産会社は1尾150グラム以上のサンマを発送するという契約を宮古郵便局と結んでいた。ところが、水揚げされるのは130グラム程度の小型のサンマばかり。契約した魚が取れないので発送できないというわけだ。
地元宮古の市民は「刺身にしても焼いても小型ではおいしくない」という。
地元水産会社も「小型のものは脂の乗りが悪いため、商売にならない」と肩を落とす。
今年、宮古のサンマ漁は不振を極めた。サンマのシーズンといえば8月末から9月にかけてだが、宮古港では9月中(日曜日を除く)のサンマの水揚げがまったく振るわなかった。
地元水産会社も「小型のものは脂の乗りが悪いため、商売にならない」と肩を落とす。
今年、宮古のサンマ漁は不振を極めた。サンマのシーズンといえば8月末から9月にかけてだが、宮古港では9月中(日曜日を除く)のサンマの水揚げがまったく振るわなかった。
電話取材に応じてくれた地元の水産業者はこう語る。「シーズン中は週に1回程度しか水揚げがないときもあった。9月にはまったく水揚げがない日が10日以上もあった。去年は毎日水揚げされたのに・・・」
宮古郵便局が市内の水産会社6社と提携する「サンマゆうパック」は、結局、今年は早々に終了することになった。古水産物商業協同組合が手掛ける同様のサービス「サンマふるさと便」も終了している。
大型化する中国の漁船
宮古の今年の異常なサンマ漁不漁は、中国や台湾の大型漁船による乱獲のせいだと指摘する声がある。
台湾や韓国の漁船は、北太平洋の公海でサンマ漁を繰り返してきた。公海なので漁をしても問題はないのだが、3年ほど前から中国の大型漁船が参入するようになった。
それに比べると、日本近海での漁を得意とする日本の漁船は非常に小さい。数カ月も遠洋で漁を続ける中国船とはそもそも規模が違う。
ソース:
中国は、海洋進出という国策のもとに遠洋漁業の発展を目指している。近年は大型船の建造と装備のグレードアップに力を入れており、2013年には600隻を超える遠洋漁船を完成させた。特に開発・製造に力を入れたのが、まぐろ漁船やサンマ漁船などである。そうした大型船が公海でサンマを“先獲り”してしまうため、日本近海に回遊してくるサンマが減ってしまったのではないかと指摘されている。
大型漁船の様子を、中国の現地紙は次のように報じている。「2014年末に寧波の港を出港した船は、前年に進水した大型漁船である。高速スピードに加えて、レーダーや自動操舵、衛星通信など装備のハイテク化が進んでいる。1回の漁で数十トンを捕獲。それを80人の船員が加工し、8つの冷凍庫で保管する。数カ月の海上生活に耐えられるよう数十トンの米・野菜・肉を搭載し、船員は一人ずつ部屋も与えられている」
資源保護のために国際的なルール作りを
国立研究開発法人 水産総合研究センターの東北区水産研究所八戸庁舎によると、実際には外国籍の大型漁船による影響は限定的だという。「日本の船は多いときには1日当たり100トン以上の魚を獲ります。一方、外国船は40~50トンがせいぜい。中国船などが根こそぎとっているとは言えないでしょう」
今年のサンマ漁の不振についても、次のように説明する。「サンマは海全体にそれなりに存在しています。それが沖にとどまるのか、あるいは日本近海にまで泳いでくるのかによって、その年の漁獲量が変わってきます。確かに今年は近海での魚影は薄かった」
同センターの話を聞く限りでは、中国漁船がサンマを根こそぎ奪い尽くしているというわけではなさそうだ。
しかし、2014年のサンゴ密漁が問題になったように、ウンカのように大群で押し寄せて漁をしまくる中国漁船はやはり脅威である。
そもそも海の資源は無尽蔵ではない。日本ではサンマ、マアジ、スケトウダラ、ズワイガニ、スルメイカなど7魚種について漁獲可能量(Total Allowable Catch)を定めている。同様のルールを国際的に適用して資源を保護し、漁業を持続可能なものにする必要がある。
折しも2015年7月、「」(略称「北太平洋漁業資源保存条約」)が発効した。この条約に基づき、サンマなどの保存管理措置を決定する委員会「北太平洋漁業委員会」(NPFC)が設立され、事務局が東京に設置された。
折しも2015年7月、「」(略称「北太平洋漁業資源保存条約」)が発効した。この条約に基づき、サンマなどの保存管理措置を決定する委員会「北太平洋漁業委員会」(NPFC)が設立され、事務局が東京に設置された。
9月3日、その第1回会合が東京で開かれた。日本、カナダ、ロシア、中国、韓国、台湾が参加(その他、米国やバヌアツがオブザーバ参加)し、急増している公海サンマ漁船の数をいかに抑制するかを中心に議論が行われた。
会合は日本が主導権を握っているが、道のりは平坦ではない。議論されているのは、あくまで「急増する漁船の抑制」であり、漁船の増加を強制的に制限しているわけではないからだ。
会合は日本が主導権を握っているが、道のりは平坦ではない。議論されているのは、あくまで「急増する漁船の抑制」であり、漁船の増加を強制的に制限しているわけではないからだ。
中国に変化の兆しが表れているが・・・
そうした状況の中で、中国では漁船建造のマーケットが縮小に向かっているという報道がある。中国の電子メディアは「政府が新たな漁船の建造申請を受理しなくなった。その結果、漁船建造市場から資本が流出し始めた」と伝えている。
中国の造船メーカーがこれまで積極的に大型漁船を建造してきたのは、政府のサポートがあったためである。しかし、今年に入ってから国家政策の転換が見られるようになったようだ。
中国も「持続可能な漁業」に目を向け始めたとういことだろうか。あるいは漁船建造市場への投資が「過剰」だと判断したのだろうか。
しかし、楽観視することはできない。中国の漁船がもたらす日本の漁業への影響力は計り知れない。今後も動向を注視する必要がある。