三菱重工
韓国での戦時徴用問題
和解を拒否
和解すると一私企業の
問題では済まされなくなる
【ソウル時事】戦時中、女子挺身(ていしん)隊員として名古屋市の軍需工場に徴用された韓国人女性らが三菱重工業に慰謝料を求めた裁判で、三菱重工は17日までに、韓国の光州高裁が打診した和解の調停に応じない考えを伝えた。調停が成立しなかったことで、10月22日に判決が言い渡される。
三菱重工は「(徴用をめぐる)請求権の問題は完全かつ最終的に解決済み。これを否定する(一審)判決は不当であり、あくまで法的手続きの中で当社の主張を行う」と強調。「本件は一私企業と個人の問題にとどまらず、韓国政府や日本の他の私企業など多数の利害関係者に影響を及ぼす」と説明した。
光州高裁は、原告側の提案を受けて8月の弁論で、三菱重工に調停を打診していた。
韓国の戦時徴用で賠償命令確定なら政府
国際司法裁への提訴検討
戦時中に朝鮮半島から徴用された韓国人らが賠償を求めた訴訟で、新日鉄住金(旧日本製鉄、本社・東京)など日本企業に賠償命令が相次いだことを受け、政府は29日、韓国大法院(最高裁)で敗訴が確定した場合、国際司法裁判所(ICJ)に提訴する方向で検討に入った。韓国の同意がなければ裁判は開かれないが、解決済みの戦後補償の前提を覆す判決の不当さを国際社会に訴える意義は大きいと判断している。
首相周辺は「日本側に瑕疵(かし)はなく国際司法裁判所に提訴すべきだ」との考えを明かし、別の周辺も「賠償が確定すれば提訴するのは当然だ」と述べた。
日韓間の賠償請求権問題は、昭和40年の国交正常化に伴い締結された日韓請求権協定で「完全かつ最終的に解決された」と明記。協定には日本が韓国に無償3億ドル、有償2億ドルを供与することが盛り込まれ、日韓両政府は協定に基づき戦時徴用問題も解決済みとの立場をとっている。
戦時徴用訴訟をめぐり外務省は「仲裁委員会の発足を求める」(幹部)との立場を強調する。協定の3条では両国間で紛争が起きた際、両国が合意した第三国の委員を含む仲裁委を発足させるとの規定がある。
首相周辺も仲裁委の規定を把握しているものの、国際司法裁への提訴検討を強調するのは、韓国側が仲裁委の設置に応じるか定かでないためだ。
無策のまま時間を浪費すれば日本側にデメリットが生じる。徴用訴訟ではすでに、韓国の高裁レベルで日本企業に賠償を命じる判決が相次いでおり、賠償命令が確定すれば日本企業は韓国での保有資産を差し押さえられる恐れもある。
このため国際司法裁への提訴で日本の正当性を表明し、差し押さえを踏みとどまらせる狙いがある。
新日鉄住金は韓国の高裁判決を不当として上告。最高裁で「主張の正当性を明らかにしていく」と説明しているが、最高裁で敗訴が確定すれば賠償に応じる意向だという。
最高裁が判断を翻す可能性は低いとされ、仮に新日鉄住金が賠償に応じれば、元徴用工や遺族らの賠償請求が続出し、解決済みの補償問題も次々と蒸し返されかねない。こうした事態は日韓間の戦後処理の崩壊を意味する。政府は国際司法裁への提訴で日本企業を全面支援する姿勢を示し、企業側にも一致した対応を求めたい考えだ。
【杉田水脈】戦時徴用問題は国際司法裁判所に提訴すべき
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