韓国が最近、米国や日本よりも接近しようと中国に秋波を送っているが、その中国では嫌韓がピークに達している。上海在住ジャーナリスト・西谷格氏が語る。

「韓国企業の中国進出が進むにつれトラブルが増加しています。そのひとつに韓国企業の夜逃げ問題がある。経営不振に陥ると賃金未払いのまま会社や工場を閉鎖して逃げるケースが相次ぎ、中国人の怒りを買っているのです」

 2012年には、江蘇省だけで2件の韓国人経営者夜逃げ事件が発生している。「同年5月にはサムスン電子の下請け工場と韓国の眼鏡工場が負債を抱えて破産。いずれも従業員の賃金は未払いでした。眼鏡工場の社長は410万元(約6800万円)もの借金を踏み倒して子供と韓国に帰国してしまいました」(西谷氏)

 韓国系石油化学会社で働く王さん(仮名・男性)は韓国人に強い不快感を抱くと同時に、蔑みの目で彼らを見る。「彼らは『すべてにおいて中国より韓国が上』という観念を抱き続けているんです。『中国にはヒュンダイのような一流自動車メーカーはない』などと、何かにつけ自国の優位を口にします。長いこと中国や日本に支配されていたから、劣等感の裏返しで傲慢な態度を取るのでしょう」

 前出・西谷氏が続ける

「昨年7月、米・サンフランシスコで起きたアシアナ航空機墜落事故では、韓国人の女性キャスターが『(犠牲者が)韓国人でなく中国人で幸い』と発言。中国のネットには、『韓国人は犬やブタ以下』『金正恩は早く南朝鮮の土地を取り戻せ』といった書き込みが溢れました。中国の防空識別圏に含まれる『蘇岩礁(韓国名=離於島)』を巡る領有権争いもあり、今後、嫌韓がヒートアップする可能性がある」


※SAPIO2014年2月号

賃金払わず夜逃げした韓国企業に「民度が低い」と中国人非難



 中国に進出した韓国企業では、韓国人幹部と中国人労働者の間でトラブルが多発している。

 昨年7月、江蘇省にあるサムスン電子の下請け会社の工場に地元民が押し掛け、資材を持ち去る騒動が起こった。朝鮮日報によれば、工場が負債を抱え、中国人労働者の賃金を未払いのまま韓国人幹部が夜逃げしたため、「悪徳企業」として抗議の”標的”にされたのだという。

 山東省青島市には、「リトル韓国」と呼ばれるほど多数の韓国企業が進出している。ここでも経営不振に陥り、正式な会社清算手続きをせずに幹部が韓国に夜逃げするケースが多発している。中国の破産手続きは煩雑で時間も金もかかるため、それを嫌うらしい。

 中国のネットには「棒子は最低だ」「民度が低い」「信用できない」「日本企業はちゃんと破産手続きを取るのに」といった書き込みが溢れている。「棒子(バンズ)」は中国人が朝鮮人・韓国人を罵る時に使う蔑称だ。かつての満洲国で、朝鮮人警察官が洗濯用の棒を警棒として使って横暴な態度を取ったことに由来する。「棒切れ野郎」というニュアンスだ。


 上海にある韓国系企業で働く中国人がこう吐き捨てる。
あの国(韓国)は歴史的にずっと中国の属国で、第2次大戦中は日本に支配された。だから劣等感が非常に強く、その裏返しでもの凄く傲慢な態度を取るんだ

 別の中国人によれば、韓国企業では「中国人に韓国国歌の斉唱を強制する」「中国人の守衛は韓国人社員に敬礼しなければならない」「中国人が退社する時、会社の物品を盗んでいないか、身体検査を行なう」ことがあるという。



●取材協力/フリーライター 西谷格(上海)
※SAPIO2013年3月号