小池氏、ドン引退勧告
千代田区長選、自民都連は“内田隠し”
結果次第で都議選出馬見送りも
東京都の小池百合子知事(64)が、「都議会のドン」こと自民党の内田茂都議(77)に、事実上の“引退勧告”を突き付けるのか-。任期満了に伴う千代田区長選(2月5日投開票)が29日告示された。同区はドン内田氏の地盤で、自民党都連は、新人で会社員の与謝野信(まこと)氏(41)を推薦した。小池氏は、現職の石川雅己氏(75)を支援して圧勝を狙う。結果次第で、ドン内田氏が夏の都議選(6月23日告示、7月2日投開票)への出馬を見送る可能性も指摘されている。
「石川さんが負けたら『東京大改革』は後退してしまう。どうか、区民の手で、ぶっちぎりで勝たせてください」
小池氏は29日夕方、JR有楽町駅近くの街頭演説で、こう訴えた。伊豆大島の土石流災害(2013年)の現場に献花・視察した後、駆け付けた。石川氏の支援者だけでなく、1000人近い買い物客が足を止めた。
注目の千代田区長選には、無所属3人が届け出た。「三つどもえ」と報じるメディアもあるが、区民の注目はやはり、「小池氏vsドン内田氏」「小池氏vs自民党都連」の代理戦争だろう。
都連推薦の与謝野氏には同日、石原伸晃経済再生担当相や丸川珠代五輪相、元五輪ビーチバレー選手の朝日健太郎参院議員らが応援に駆け付けた。ドン内田氏の姿はなく、陣営の「ドン隠し」の徹底ぶりを感じさせた。
丸川氏は「東京都連の改革が必要だ。与謝野さんが千代田区のために立ち上がることは、まさに天の時だ。今のリーダーでは不十分。世界を見て世界と取り引きして生きた人(与謝野氏)が、新しい風を送りこむことが必要だ」と訴えた。
小池氏と丸川氏は、2020年東京五輪・パラリンピックの開催費問題などで、IOC(国際オリンピック委員会)と東京大会組織委員会、東京都、政府による4者協議などで協調・協力している。その2人が、敵味方に分かれて火花を散らした。
小池氏がここまで一区長選に必死になるのは、「東京大改革」「都政改革」を成功させるためだ。小池氏が豊洲新市場の移転問題などで問題視しているのは、土地購入当時の知事だった石原慎太郎元知事の責任と、チェック機能を果たせなかった都議会、特に自民党の責任といわれる。都知事選でも「都政の闇」「ブラックボックス」といい批判していた。
都議会自民党の象徴的存在がドン内田氏である。その地盤である千代田区の区長選で圧勝すれば、小池氏側は、次の任期中に80歳を超えるドン内田氏を出馬断念に追い込むことができる-と分析している。自民党都連が発表した都議選の第1次、第2次の公認候補に「内田茂」の名前はない。
都政関係者は「都議会で絶大な権力をふるう内田氏だが、選挙はあまり強くない。いつもギリギリで当落が決まる。ドン内田氏は、昨年夏の都知事選でも組織票固めに奔走したが、同区の自民党支持層は小池氏に投票した。今回も、自民党支持層は石川氏には流れるだろう。同区の選挙では、こうした投票行動が定着しつつあり、この潮流にドン内田氏もあらがえないはずだ」と語った。
こうした流れを察知したのか、公明、民進、共産の各党は、千代田区長選について自主投票とした。
公明党は都議会では「小池氏支持」を打ち出すが、国政では自民党との連立を堅持している。公明関係者は「国政と都政は別。国政に影響の出るような無用な対立軸は作らない」と話す。
一方、民進党は自主投票を決めたが、区議が石川氏の集会に顔を見せるなど、都政での小池氏との関係を重視している。共産党は民進系区議との統一候補擁立を目指したが、断念し自主投票とした。
また、昨年の都知事選で小池氏を支援した自民党の若狭勝衆院議員が29日、石川氏の出陣式に駆けつけた。自民党都連は与謝野氏を推薦しており、党方針に反する2度目の「造反」となる。都議選に向けて都連は対応に苦慮しそうだ。
代理戦争はどうなりそうか。
政治ジャーナリストの角谷浩一氏は「今回の勝敗は今後の都議会、都議選に大きな影響を与えるだろう」と語った。
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