そして誰もNHKを信じなくなった
「べっぴんさん」もそうだった!
NHK朝ドラ暗黒史観に油断は禁物
潮匡人(評論家、拓殖大学客員教授)
NHK総合テレビで放送中の「連続テレビ小説」(朝ドラ)は「べっぴんさん」。歴代の朝ドラ同様、今回も先の大戦(大東亜戦争、いわゆる太平洋戦争)を暗く、重苦しく描いている。「いや、それは保守派の偏見」云々の水掛け論を避けるため、直近の具体例を挙げよう。番組公式サイトが紹介した「あらすじ」(10月10日~15日放送分)はこうだ。
「紀夫に召集令状が届き、お腹の子供を託されたすみれは、夫不在の中、娘のさくらを出産する。戦況が厳しくなり、近江の坂東本家に疎開するすみれとゆりだったが、おじの長太郎一家の態度は冷たい。そんな中、神戸で大きな空襲があったと五十八からの知らせが入る。昭和20年8月、終戦の日を迎えたすみれは、様子を確認するため、神戸に戻る。そこで目にしたのは、焼け野原になった街と、焼け崩れた屋敷の姿だった」
ご覧のとおり、暗く、重苦しい雰囲気が「あらすじ」からも伝わってくる。NHKは「フィクション」と断るが、誰もが先の大戦と重ね合わせて視聴したに違いない。「フィクション作品の朝ドラに目くじらを立てるな」云々の苦言もあり得よう。
だが、それは違う。なぜなら、以下のとおりフィクションとは言い切れないからだ。ヒロイン「坂東すみれ」はこう描かれる。
《会社経営者の父と優しい母、快活な姉のいる裕福な坂東家の次女として生まれる。(中略)太平洋戦争のさなかに結婚・妊娠するが、ほどなく夫は出征。夫不在の中、長女を出産する。さらに、終戦間際には神戸が空襲を受け、生まれ育った屋敷も財産も失ってしまう。戦地から帰らぬ夫を待ちながら、乳飲み子を抱えたすみれは、人々との出逢いに導かれ、得意だった洋裁の腕を生かして「子供服作り」を始める》(番組サイト)
こうして出来た「子供服」が、あの有名ブランド「ファミリア」である。創業者の坂野惇子について同社公式サイトはこう紹介する。
「神戸で裕福な家庭に生まれ、何不自由なく育ったが、結婚後、神戸の大空襲で自宅は全焼。終戦後、疎開先で幼い子どもを抱えながら、出征したまま消息のわからない夫を不安な気持ちで待つ日々を過ごす。(中略)途方に暮れ、父に相談したのがきっかけで、それまでのお嬢さん的甘えを捨て、自分の手で仕事をして生きていこうと決心する」
朝ドラのヒロイン「坂東すみれ」が、実在した坂野惇子であることは、もはや誰の目にも明らかであろう。こうした手法は、なにも「べっぴんさん」に限らない。
描かれる暗黒史観
今年上半期の「とと姉ちゃん」もそうだった。ヒロインの「小橋常子」は「暮しの手帖社」創業者の大橋鎭子、同様に「花山伊佐次」は『暮しの手帖』の花森安治編集長。ここまで似た名前にしておきながら、「フィクションです」と言われても困る。この作品も、先の大戦を暗く、重苦しく描いた。
昨年下半期の「あさが来た」のヒロイン「白岡あさ」も、実業家の広岡浅子。その二作前の「マッサン」に至っては、ヒロインが実在したニッカウヰスキーの創業者・竹鶴政孝の妻(英国人)であることは公知の事実と化している。実際その後、関連銘柄の売り上げは急上昇、品薄状態を招いた。その他、実在の人物を描いた「朝ドラ」は枚挙に暇がない。
純然たるフィクションならともかく、実在の人物を描いたドラマである以上、われわれ視聴者は、現実の日本国とその歴史を想起せざるを得ない。もとより先の大戦も例外でない。これまでの関連する全作品が、いわば暗黒史観で描かれた。朝ドラが描く先の大戦は決まって暗く、重苦しい。
朝ドラだけではない。皇室を「王家」と連呼した大河ドラマ「平清盛」その他、問題作を挙げ出せばキリがない。ニュース番組や「クローズアップ現代」等々、報道番組に至っては死屍累々である(具体例は、拙著最新刊『そして誰もマスコミを信じなくなった』飛鳥新社)。ここでは朝ドラに絞ろう。
(以下略)
他人に厳しく自分に甘い
旧陸軍の無謀さよりも恐ろしい
無責任なNHKの「サヨク体質」
中宮崇(サヨクウォッチャー)
かつて、NHKの戦争関連番組は素晴らしかった。中でも1992年から1993年まで6回のシリーズで放映された「ドキュメント太平洋戦争」は、その最高峰と言える。(Wikipedia:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%82%AD%E3%83%A5%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88%E5%A4%AA%E5%B9%B3%E6%B4%8B%E6%88%A6%E4%BA%89)
当時まだ大学生であった私は、放映のたびにそのオープニング曲「漣歌」を聞いただけで胸が熱くなり涙が止めどなく流れ出てきたものだ。
第1集の「大日本帝国のアキレス腱 〜太平洋シーレーン作戦〜」からして、太平洋戦争中に海上護衛総司令部に勤務され名著「海上護衛戦」(角川文庫)の著者としても知られる大井篤氏が登場する力の入れようで、その後も
第2集「敵を知らず己を知らず 〜ガダルカナル〜」
第3集「エレクトロニクスが戦を制す〜マリアナ・サイパン〜」
第4集「責任なき戦場 〜ビルマ・インパール〜」
第5集「踏みにじられた南の島 〜レイテ・フィリピン〜」
第6集「一億玉砕への道 〜日ソ終戦工作〜」
と、タイトルを見ただけで泣かされる、質の高い放送が続いた。
あまりにも評判が良かったためか、1993年に角川書店で書籍化された後もシリーズ名を「NHK取材班 編『太平洋戦争 日本の敗因』」と変え文庫化され、現在も全6巻が発売中である。
どの集も名作揃いであったが、ここでは特に第4集「責任なき戦場 〜ビルマ・インパール〜」を取り上げたい。
これは1944年に行われた「インパール作戦」の失敗の要因を批判的に検証した回である。悪化した戦局の挽回を狙い、インドの都市インパールを攻略するという野心的と言うよりもむしろ無謀極まりないこの作戦は、戦死だけで2万6千人もの犠牲者を出した挙句、参加した三個師団の師団長全員が無謀な命令に反対し、司令官の牟田口廉也の逆鱗に触れ、作戦途中に解任されるという極めて異常な様相を見せたことでも知られている。
番組では、作戦失敗の責任者である牟田口に対する日本陸軍による責任追及が極めて不十分であったことが詳細に検証される。その「無責任体質」はただこのインパール作戦に限ったことではなく、戦争中のあらゆる場面で見受けられたものであり、それが太平洋戦争敗戦の重大な要因の一つであったと結論する。
そればかりではない。この番組は、そうした軍部の「無責任体質」が敗戦後の日本の官僚機構、企業等あらゆるところで未だ続いており、それが日本の将来を危うくしていると示唆して終わる。
当時まだ青臭い学生であった私は、この番組の結論に大いに膝を打って感心したものだ。「なるほど、我が国の未来の為にも『無責任体質』の打破が必要だ。NHKはなんとすばらしいテレビ局なのだろう」と。
ところがその後のNHKの歴史は、彼らの存在そのものが「無責任体質」であったことを証明してしまった。
中でも、小泉訪朝によって北朝鮮による拉致犯罪が白日の下にさらされる前年、2001年1月30日のETV特集シリーズ「戦争をどう裁くか」は、「反日的」だのなんだのという批判では到底収まらぬほど犯罪的である。後に「NHK番組改変問題」と称され、朝日新聞等反日サヨク勢力がこぞって「自民党安倍晋三代議士等からNHK上層部に圧力があった」と騒ぎ立てたこの番組には、よりにもよって北朝鮮の工作員が2名も、その素性を隠して出演していたことが判明している。NHKは「拉致など無い」「拉致は日本による捏造」などと息を吐くように嘘をついていた朝鮮総連やサヨク勢力と結託し、その反日プロパガンダに加担していたわけである。
しかしこの驚くべき事件について、NHKが番組関係者や上層部に相応の処分を下したという話は寡聞にして聞かない。
NHKによる反日プロパガンダとその事実が発覚した後も、ろくな処分が行われぬ「無責任体質」は、その後も何度となく繰り返されており、いまだ根絶される気配はない。
そうした数多の不祥事の中でも特に、2009年4月放送のNHKスペシャルシリーズ 「JAPANデビュー」第1回「アジアの“一等国”」は、現地の台湾人が日本による台湾への貢献について証言した部分をカットしたインタビューが流された結果、「捏造番組である」として、台湾人等から集団訴訟を起こされるという事態まで招く恥知らずな結果を招いた。
捏造や偏向だけではない。かつて北朝鮮の工作員を番組に登場させて将軍様のプロパガンダに加担した責任がなんら問われぬまま、今もサヨク活動家等をその素性を隠して登場させる番組が横行している。
先日9月3日放送のETV特集「関東大震災と朝鮮人 悲劇はなぜ起きたのか」においても、バリバリの反日活動家のプロパガンダを垂れ流したとの批判がネット上において多数見られ、登場人物の素性を詳細に調査したホームページも公開されている。
NHKによる捏造・偏向番組は、こうした政治的な内容を含むもの以外についても溢れかえっている。最近では「全ろうの作曲家佐村河内守」を扱った2013年3月31日放送のNHKスペシャル「魂の旋律〜音を失った作曲家〜」が有名であろう。
はたしてあの番組の責任問題は一体どうなっているのであろうか。企業や行政が不祥事を起こすたびに厳しい処分を求め、時には責任者が自殺に追い込まれるまで追及の手を止めぬのが我が国のテレビ局文化であるが、NHKが自らの不祥事において責任者を解雇したなどということが一体どれだけあったであろうか?他人に厳しく自分に甘い、そういう人間を「卑怯者」と言わずしてなんと言うのか。
幸いにして、NHKには「ドキュメント太平洋戦争」という素晴らしいコンテンツがある。新人教育を始め、定期的にこの絶好の教材を用いて職員のモラル向上教育を行うことをNHKにはお勧めしたい。
本当の日本を知らないNHK
NHKに日本人はいるのか?
歴史を直視しない
公共放送なんていらない
小名木善行(国史研究家)
NHKの戦争史観の偏向が問題になっています。NHKの持つかつての日本の戦争に関するレトリックは明快です。戦争に反対である、日本は侵略国だった、日本は悪いことをした、ということです。私も戦争には反対です。二度とあってはならないと思います。けれど戦争は相手があって起きることです。日本だけが一方的に戦争を回避しようとしても、相手が攻めてきたら戦わざるをえないのです。そうでなければもっと大きな悲劇に襲われることになるからです。
支那事変の時に「通州事件」という事件がありました。北京郊外にある通州市で、日本人居留民233名が、おそらく人類史上類例のないほどの残虐な方法で殺されました。通州は、北京郊外18キロにある、明朝時代に築かれた静かな街で、天津からの集荷の拠点として、事件直前までは日本人にとっても、中国人にとっても治安の良い街でした。そこには親日派とされる中国軍閥の冀東防共自治政府の兵たちも守備にあたっていました。この自治政府の長官の殷汝耕は日本人を妻にしていて、自治政府軍は約9000名の保安隊を組織していました。
昭和12(1937)年7月29日、通州にいた日本人380名に、いきなりこの軍が襲いかかりました。日本人は、男性が110名、残りは婦女子です。保安隊は自分たちのボスである殷汝耕を拘束し、日本人居留民への虐殺を開始しました。そして日本人223名が虐殺されました。
この事件について、東京裁判における証言があります。そのまま掲載します.
・救援のため通州に急行した、支那駐屯歩兵第二連隊長萱島高中将の供述
「旭軒(飲食店)では40から17、8歳までの女7、8人が皆強姦され、裸体で陰部を露出したまま射殺されており、その中4、5人は陰部を銃剣で刺殺されていた。商館や役所に残された日本人男子の死体はほとんどすべてが首に縄をつけて引き回した跡があり、血潮は壁に散布し、言語に絶したものだった」
・支那駐屯歩兵第二連隊歩兵砲中隊長代理、桂鎮雄元少佐の供述
「錦水楼入口で女将らしき人の死体を見た。足を入口に向け、顔だけに新聞紙がかけてあった。本人は相当に抵抗したらしく、着物は寝た上で剥がされたらしく、上半身も下半身も暴露し、四つ五つ銃剣で突き刺した跡があったと記憶する。陰部は刃物でえぐられたらしく、血痕が散乱していた。帳場や配膳室は足の踏み場もない程散乱し、略奪の跡をまざまざと示していた。女中部屋に女中らしき日本婦人の四つの死体があり、全部もがいて死んだようだった」
「折り重なって死んでいたが、一名だけは局部を露出し上向きになっていた。帳場配膳室では男1人、女2人が横倒れ、或いはうつ伏し或いは上向いて死んでおり、闘った跡は明瞭で、男は目玉をくりぬかれ上半身は蜂の巣のようだった。女2人はいずれも背部から銃剣を突き刺されていた。階下座敷に女の死体2つ、素っ裸で殺され、局部はじめ各部分に刺突の跡を見た。1年前に行ったことのあるカフェーでは、縄で絞殺された素っ裸の死体があった。その裏の日本人の家では親子二人が惨殺されていた。子供は手の指を揃えて切断されていた。南城門近くの日本人商店では、主人らしき人の死体が路上に放置してあったが、胸腹の骨が露出し、内臓が散乱していた」
・支那駐屯歩兵第二連隊小隊長、桜井文雄元少佐の供述
「守備隊の東門を出ると、ほとんど数間間隔に居留民男女の惨殺死体が横たわっており、一同悲憤の極みに達した。『日本人はいないか?』と連呼しながら各戸毎に調査していくと、鼻に牛の如く針金を通された子供や、片腕を切られた老女、腹部を銃剣で刺された妊婦等の死体がそこここのゴミばこの中や壕の中から続々出てきた。ある飲食店では一家ことごとく首と両手を切断され惨殺されていた」
「婦人という婦人は14、5歳以上はことごとく強姦されており、全く見るに忍びなかった。旭軒では7、8名の女は全部裸体にされ強姦刺殺されており、陰部にほうきを押し込んである者、口中に土砂をつめてある者、腹を縦に断ち割ってある者など、見るに耐えなかった。東門近くの池には、首を縄で縛り、両手を合わせてそれに八番鉄線を貫き通し、一家6人数珠つなぎにして引き回された形跡歴然たる死体があった。池の水が血で赤く染まっていたのを目撃した」
悪鬼も目をそむける惨たらしい所業ですが、その後の調べで、襲撃した連中は襲撃対象の日本人居宅を、あらかじめリストアップしていたことが分かっています。通州事件は、仕組まれた計画的な犯行だったのです。
通州での殺戮と略奪は、まる一日続けられましたが、ひとつだけ、涙なくしては語れない物語があります。ある人が、便槽に隠れていると、外で日本人の男性の声がしたのだそうです。その声は、日本語でこう叫んでいました。「日本人は隠れろ! 日本人は誰も出てくるな! 日本人は逃げろ〜っ!」必死の叫び声だったそうです。そして、ズドンという銃声。以降その声は聞こえなくなりました。中国兵に引きずられながら、その日本人男性は、最期の瞬間まで、自分のことではなく、ほかの日本人の心配をしていたのです。 だから「助けてくれ〜!」じゃなかったのです。「日本人は逃げろ〜!」だったのです。
このような事件が起こった場合、徹底的な報復と賠償を求めるというのが世界の常識です。4千名の居留民が襲われ、ほぼ無傷で全員が助かった義和団事件でさえ、当時の清朝政府の年間予算をはるかに上回る賠償請求がなされたのです。では当時の日本政府は、通州事件の後、いったいどのような要求をしたのでしょうか。実は事件後、日頃は仲の決して良くないといわれる陸軍省と海軍省の意見が一致し、内閣満場一致で決めた対策があります。それが「船津工作」です。
(以下略)
高校生を利用した卑劣
日本の安全保障の観点ゼロ!
沖縄基地問題で
偏向番組を流したNHK
古森義久(産経新聞ワシントン駐在客員特派員)
NHKが沖縄の米軍基地問題を日本の高校生に解説し、議論させるという番組をみて、驚いた。米軍基地の基礎となる日本の安全保障という観点がゼロ、沖縄の地域住民にとっての環境問題としかみないのだ。その偏向したNHK視点を高校生たちに刷り込むというのは政治的な洗脳工作にもみえた。
この番組は1月25日午後5時から放映された「シブ5時」というニュースがらみの総合番組だった。そのなかで15分ほども費やすセクションに「高校生が考える沖縄 イチから学ぶ基地問題」という部分があった。東京都の高校生が沖縄に修学旅行するに際して、沖縄の米軍基地について事前に学習をさせ、そのうえで現地の実態を見学する、という趣旨の番組だった。
その進行役が安達宣正解説委員、そこに芸人の田畑、勝本という人物2人が加わっていた。その安達解説委員の沖縄の米軍基地についての説明はネガティブな側面ばかり、地元の住民が騒音に悩んでいる。米軍将兵が地元の女性を暴行した。沖縄県の基地負担が過剰に大きい。こんな点ばかりのあの手この手の紹介だった。
では沖縄に米軍基地がなぜ必要なのか。この点は安達解説委員は最初から最後まで何一つ述べなかった。日本の安全保障への言及がゼロなのだ。その過程で東京の男子高校生が「日本は憲法などのために戦うことができないから、米軍の強大な軍事力に国を守ってもらう。そのために米軍基地が沖縄には必要なのだと思う」と述べた。この鋭い指摘に対し、先生役の安達解説委員はなにも述べず、また基地の騒音などを語るだけだった。
後半で女子高校生が「日本に戦争をしかけようとするところはどこにもないから、米軍基地は必要ないと思う」と述べた。その結論の適否はともかく、「戦争」という概念と「米軍基地」とを結びつける発言は少なくとも沖縄の基地を日本の安全という文脈で考えようとする態度をみせていた。だがNHKを代表する安達解説委員はこれまたこの発言を無視して、「米軍基地問題は国と沖縄県とが同じ歩調で取り組むべきだ」などと、沖縄知事の安保無視の構えを応援するような言葉を発し、高校生が提起した重要な課題から逃げていた。
日本固有の領土の尖閣諸島は沖縄県である。中国がいま軍事力を使ってでもその尖閣諸島を日本から奪取しようという企図していることは武装艦艇による尖閣至近の日本領海への毎週への侵入をみても明白である。
日本を敵視する北朝鮮が核兵器や弾道ミサイルを開発している。しかも韓国には実際に軍事攻撃をかけるし、日本に対しても好戦的な言辞を頻繁に発し、日本方向に弾道ミサイルを何度も発射する。中国の軍事脅威、北朝鮮の軍事脅威こそ沖縄の米軍基地の存在理由なのだ。だがNHKはそんな現実にはツユほどの関心も示さない。その象徴がこの高校生洗脳番組のように思えた。
NHKが規制される放送法は番組が「政治的に公平である」ことを義務づけている。「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにする」ことも決めている。沖縄の米軍基地は日本国が求めた結果、起きた現象だといえる。日本全体でみた場合、沖縄の米軍基地の存在には「対立する意見」があることは自明である。であれば、NHKは放送法の規定により、「多くの角度からの論点を明らかにする」義務がある。
だが1月25日放映の番組は沖縄の米軍基地への反対論ばかりを宣伝し、放送法に明らかに違反していた。そんな政治偏向番組に高校生を利用するとは、なんとも卑劣にみえた。
NHKでも信用し過ぎてはだめ
マスコミにウソ(マスコミはウソと思っていない。自分たちは特権階級だから庶民には伝えるべきと考えるものだけ伝えれば良いと思っているが、それがウソになっても気がついていない)を伝えられると、時には命に関わることになります。その典型的なものが、最近では「減塩食」、「コレステロール」、そして「原発」でしょう。
減塩食で血圧が下がると錯覚して血管障害でなくなった方、逆に減塩食で血圧が下がりすぎてガンや認知症になった人、コレステロールの少ない食事をしてガンの死亡率が2.5倍の領域(180以下)になりガンで命を落とした人・・・テレビや新聞の健康欄が繰り返していたことで命を落とした人が多いと推定されます。また原発事故の時には「原発からの距離の二乗に反比例して放射線が減る」というNHKに出た東大教授の話を信じて風下に逃げ、大量の被曝をした村の人などがその典型的な例でしょう。そこで、まずはマスコミの報道のうち、どういう情報が危険なのかを整理したいと思います。
まず第一に「政府が次のように発表した」とか「厚労省の文書によると」というように政府や官庁、それに癒着している専門家(主として東大教授)が発表したり、話したりしたことを「そのまま」報道した場合には「ほとんどウソ」と受け止めたら良いと思います。典型的な例を数例、示したいと思います。御嶽山は60名ほどの犠牲を出した噴火の前、噴火の可能性はあったのですが、山頂の地震計は故障中(報道されていない)で、地元からは警戒レベルを上げると観光客やゴルフ客が減るとの圧力があり(伝聞で確認できていないが、一般的には常に圧力があると専門家から直接、聞いた)、レベル1で据え置いた。レベル1は安全だから火口の付近まで行ってよいということだから、親は子供を登山させ、命を落とした。気象庁と噴火予知連絡会の東大教授は、科学的事実を国民に伝えるより、お金やメンツを大事にし、NHKなども地震計の不備、レベルの検討の内容を取材しても報道しなかった。
次の例は「コレステロールの規制値」で、全部のマスコミが政府(厚労省)の発表通り、「140から199」が望ましく、コレステロールの多い食品を食べないようにと繰り返し報道した。しかし、メタボ報道の時にはすでに「コレステロールは220-260ぐらいがベスト」、「コレステロールが180以下の場合、ガンの死亡率が2.5倍になるなどは私も知っていたことだ。
マスコミの記者の一部は異論のある医師を取材していたが、「政府の通り報道する方がバッシングされない」ということでメタボ報道を正しいとした。マスコミがメタボ報道を正しいとしたのは「科学的に正しいことを取材で確認した」のではなく、「政府が発表したから」という理由だった。私でも分かっていたことをNHKが分からないはずはないし、もし取材が不十分ならそれも含めてNHKの責任だ。第一の原則。ニュースや情報番組で「政府が」とか「東大教授が」といった場合は、その内容の真偽を取材で確認していないので、信用してはいけない。
(武田邦彦公式ブログ 2015.10.05)
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