舛添さんのこと言えるの?
新年会ハシゴの会費や高級すき焼き弁当を
政務活動費から支出していた都議がいた
東京都議会(定数127)は10日、平成27年度分の政務活動費の収支報告書を公開した。交付額は1人当たり月60万円で全国最高。総額8億9160万円のうち、約95%の8億4895万円が使われ、残りは返還された。議員活動と支持集めの線引きがあいまいなため、「政治とカネ」で辞職した舛添要一前知事が批判を受けたケースと類似した支出もみられた。
新年会を“はしご”
支出のうち各種団体との意見交換に充当できる「会費」は計2599万円。自民は会費の約74%、公明は約72%を1、2月の「新年会」や「賀詞交歓会」などにあてがった。
最も多い自民議員は計110回分で約75万円を計上、1日に8件の会合をはしごしたケースもあった。主催はいずれも地元の業界団体や町内会など。都議会の基準では、懇談や飲食が主目的の会合への支出は認められておらず、民進や共産は計上を自粛している。
弁当代は1人につき1回3千円を上限に政活費から支出できる。自民は27年に会派控室で「効率的に会議を開くため」として、東京・銀座の高級すき焼き店の2160円の弁当を全議員分50個以上購入し、政活費から約12万円を支出した。東京・人形町の高級すき焼き店でも1620円の弁当を複数回、全議員分購入している。
海外視察に940万円
政活費を使った海外への視察も。民主(現・民進)は5月に所属議員8人が台湾を訪れ、航空券代や高級ホテルの宿泊費、手土産代などを計上。案分し半額の73万1166円を支出した。自民も所属議員11人が5月に5日間のインド行政調査を実施し、ビジネスクラスの航空券代や宿泊費など計約941万円を支出。都議会の基準では政活費で支出した場合「視察の記録を作成することが望ましい」とされているが、報告書を公開する義務はなく、視察の成果は不明だ。
黒塗りだらけの領収証
大半の議員が事務所スタッフの給与を政活費から支出しており、人件費は約2億9381万円に上った。ただ、個人情報保護を理由に、金額やスタッフの名前などは黒塗りにされている。生計を同一にする親族に多額の人件費を支出していても、チェックできないのが実情だ。
親族の所有物件や自ら役員を務める会社に政活費から事務所賃料が支払われていることも。自民党の議員の中には、政治資金の不適切な使途を追及され辞職した舛添前知事と同様に、自己所有物件に設けている事務所を、所属会派の「東京都議会自民党」に貸し出す形で、政活費から毎月数万~20万円の賃料を受け取っていたケースもあった。
使い切り体質
交付された1億800万円のうち民主が返還したのは1万5千円弱で、返還率は0・01%。このほか共産0・5%▽維新1・47%▽自民2・33%-などで「使い切り体質」も浮き彫りになった。
年度末の駆け込み支出も目立ち、維新の党(現・民進)の都議は28年3月28日に「都内移動のため」として電動アシスト自転車1台を購入し、半額の約5万円を計上。民主党(同)の都議は同31日、約13万円のプロジェクターを購入し、政活費から半額を支出した。
都議は全国の地方議員で最も高い年間720万円の政活費を受け取っている。使途の基準となる「政務活動費の手引」は21年からほぼ変わっていない。全国の地方議会でずさんな使い方が明らかになり、基準の厳格化が議論になっているが、都議会では厳格化が進んでいないのが現状だ。
神戸学院大の上脇博之教授(憲法学)は「化石のような都議会の基準を見直し、税金が議員に還流する仕組みを早急に改めるべきだ」と指摘している。
舛添元知事だけでない「都議連の無駄遣い」
(2016.6.22)