「アダルトビデオ鑑賞部屋」もあった!?
“無法地帯”奈良市ごみ処理場
職員たちのあきれた実態
職場に“私設”トレーニングルームが設置されていたことが判明した奈良市のごみ処理場「環境清美センター」。市がさらに建物を調べたところ、回収された廃棄物や電化製品が処分されず至るところに放置され、エアコンや冷蔵庫、テレビ、アダルトビデオを備えたプレハブ小屋が無断で作られているなど、“無法地帯”と化していた実態が明らかになった。市は建築基準法に違反しているとしてこれらを撤去したが、その後の調べでトレーニング器具は「業務中の事故を防ぐための体力向上」を名目に、10年余り前に公費で購入されていたことが判明。仲川げん市長は「現在の世の常識では、残す合理的な理由はない」と話すが、信じがたいことに一部職員からは「移設し存続を」「撤去は不当労働行為だ」との声が上がっている。
本格フィットネスジムさながら
ごみ処理場の問題は、仲川市長が7月12日の定例記者会見で「環境清美センターの駐車場棟に違法建築。これ何かというと、トレーニングルームです」と述べ、表面化した。
会見後、現場を確認しようとする報道陣がセンターに詰めかけた。だが、カギを管理する環境部の40代男性職員は「誤解を与えるような報道につながりかねない」と、内部の公開を拒否。市側も強制的にカギを取り上げることなく、この日は結局、市が調査の際に撮影した写真を報道陣に提供しただけだった。
その後、撤去作業が進む現場でやっと確認できたトレーニングルームは、想像以上に本格的な造りだった。
駐車場棟4階の一角にベニヤ板を張り巡らせて作られた「施設」は縦11メートル、横8メートルほどの広さ。トレーニングスペースと物置の2部屋に分かれ、各種のトレーニング器具のほか、回収品とみられるエアコンを取り付けた様子も。ブレーカーやコンセントも整備され、時計、鏡、扇風機などの備品もあり、フィットネスジムさながらの充実ぶりだった。
はがされたベニヤ板には「アカン 力抜けるわ」、「イケるんか イケるかな」など、利用していた職員によるとみられる落書きも。トレーニング器具の正確な数などは不明だが、市によると、撤去後に別棟に移されたのは数十個のダンベルやバーベル、ベンチプレスのほか、大型のラットプルマシンもあったという。
ある市職員は「本気で筋トレするつもりでもなければ、あそこまでの機器はそろえられないだろう。相当本格的なトレーニングをしていたのでは」とあきれ顔だった。
組合は「不当労働行為」と反発
問題発覚から6日後の7月18日。市の職員安全衛生規則に基づき組織される安全衛生委員会の環境部会が緊急開催された。
職場環境などについて各部署の責任者と組合員が協議する会で、対策や責任について話し合われるかと思いきや、「トレーニングは労働安全衛生法に基づき、作業中の事故防止や腰痛防止として行われている」「労働条件にかかわる事項で、協議なく『撤去せよ』というのは不当労働行為だ」といった声があがったという。
委員会では、当時の環境清美部長ら関係者からの聴き取り調査をもとにしたトレーニングルーム設置の経緯も確認。平成11年に「事故を未然に防ぐための体力向上」を目的とする健康器具の購入要望があったため、12年度予算50万円での購入を決定し、同年7月に器具が納品されたことが明らかにされた。
市総務部によると、当時納品されたのは、パワーラック1台▽マッスルビルダー1台▽フラットベンチ1台▽バーベル用シャフト2本▽カールバー1本▽バーベル用プレート22個▽マット1枚▽バーベルプレートラック1台-など。ただ、駐車場棟にあった器具が納品されたものかどうかは、備品ラベルとの照合などができず、「確認できていない」という。
トレーニングスペースは当初、センター内の「事務厚生棟」3階の食堂の一角が使われていたが、階下や隣の休憩室から振動や騒音の苦情が多くなったため、14年秋以降に当時の駐車場棟管理者の許可を得て、現在地に移したという。
こうした経緯から組合側は「奈良市環境部のトレーニング室は私的ではない!仲川市長はでたらめをいうな!」「市当局の責任を職員になすりつけるな!」などと書いたビラを配布し、反発を強めている。
21年に就任した仲川市長は「経緯を知らなかった」という。しかし、「市が認めた経緯があったとはいえ、今の世の中の常識からみてどうか。筋トレは、家に帰ってからやる話だ」と指摘、「合理的に残す理由はないと思う」と完全撤廃する方針を示している。
(以下略)
http://www.sankei.com/west/news/160804/wst1608040002-n1.html @SankeiNews_WESTさんから