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[転載]「もはや、戦後では無い」2―【Wedge】「靖国参拝を米国が許容できない理由」に見る我が国の為すべき主張

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論点整理

 さて、如何だろうか。
 上掲Wedge記事(*1)を要約するならば、以下の様になろう。
 
「以下(1)~(5)の理由により、安倍首相の靖国参拝はアメリカの懸念材料であり、今後の日米関係に悪影響を与えかねない。
 
(1) A級戦犯合祀以来、天皇陛下による靖国神社御親拝が実施されていない
 
(2) アーリントン墓地には宗教色が無いので、靖国神社とは違う
 
(3) 靖国神社は「戦前の日本を正当化する象徴的存在」であるが故にアメリカ人の理解は得られない。それは日米安保を含むサンフランシスコ講和条約以降の国際秩序=戦後秩序の否定につながる
 
(4) 安倍首相の靖国参拝は、個人の信条を日米同盟の将来や日本の国益に優先させたモノだ
 
(5) 安倍首相の靖国参拝は、中国・韓国に「日本軍国主義復活!」と騒ぐ口実を与えた 」

 

「もはや、戦後では無い」と宣すべき時ではないか

 「ワシントンの雰囲気」が上掲Wedge記事の通りであるか否か、真偽のほどは定かではない。Wedgeにしろ辰巳由紀記者にしろ、神ならぬ身の人が為す事ゆえ偏向報道・虚偽報道を為してしまう、少なくとも可能性はあろう。意図する/せざるに関わらず。
 
 だが、ここでは上掲Wedge記事に極端な偏向や虚偽は無く、ワシントンの少なくとも一部は上記(1)~(5)の理由を以って「安倍首相の靖国参拝に懸念を示している」ものと仮定しよう。その上で、左様な「ワシントン(の一部)の首相靖国参拝に対する懸念」、特にその懸念理由たる上記(1)~(5)に対し、反論と説明を試みるとしよう。

 

<注釈>

(*1) 【Wedge】靖国参拝を米国が許容できない理由  http://wedge.ismedia.jp/articles/-/3484 
 
 

日米宗教観の相違

 上記(1)~(5)の内、私(ZERO)が最も衝撃を受けたのは、上記(2)「アーリントン墓地には宗教色が無い」である。何しろ弊ブログのいくつもの記事で無宗教で追悼なんてのは、言語矛盾であり、出来る訳が無い。と再三繰り返している。上記(2)「アーリントン墓地には宗教色が無い」と言うのが真実ならば、「無宗教で追悼なんてのは、言語矛盾であり、出来る訳が無い。」と言う私(ZERO)の主張は相当強烈に反証された事になる
 だがチョイと調べてみると・・・
 
〉 宗教性について[編集]
 政教分離の観点から無宗教施設と説明されることがあるものの、正確にはあらゆる宗教・宗派、宗旨による埋葬を許容しており、特定の宗教形式を押し付けず、信仰の自由を保障することで宗教性を排している[1]。事実、専属契約する聖職者の大半はプロテスタント系であるものの、カトリックの司祭やユダヤ教のラビなどとも提携関係があり、また埋葬者の希望に応じてあらゆる宗教形式が選択できる[2]。

 ちなみに、アーリントン国立墓地に建てられた墓石には、故人の信仰を表す宗教的シンボルマーク(Authorized emblems)が刻まれている。公式Webサイトによれば、施設公認のシンボルマークは41個存在しており、その中には仏教やイスラムの他にも、日本の新興宗教である天理教、金光教、創価学会、更には無神論者を示すものまである[3]。

と、ウィキペディアにある。即ち米国国立アーリントン墓地は、「無宗教」なのではなく、「汎宗教」なのであり無神論者(*1)をも許容する「究極の多宗教」なのである。なるほど、これなら追悼できるし、断じて「無宗教」ではない。
 
 確かに、アーリントン墓地と靖国神社を比べれば、靖国神社の方が「宗教色が強い」とは言えようし、「特定の宗教(靖国神社の場合は、神道(*2))に偏っている」とも見え様。上掲記事にある通り、「『アーリントンで会おう』と言って出征する兵士なんかいない」のも(多分)事実だろう。その事実は「アーリントン墓地と靖国神社の差異」を意味してはいようが、その差異は、「靖国神社をアーリントン墓地と同一視する事で、靖国神社参拝を正当化する事を許容しない」差異なのであろうか。
 
 確かに、上掲Wedge記事に「宗教色のない墓地」とある通り、アーリントン墓地が「無宗教の追悼施設」であるならば、靖国神社との差異は目も眩むばかりであり、「同一視による正当化を許容しない」程でもあろう。

 だが、上掲ウイキペディアの通り、アーリントン墓地は「埋葬された故人個々の宗教に対応した追悼施設」であり、靖国神社との差異は随分小さくなる。
 
 かてて加えて、日本人に於ける神道の「宗教的意義」も併せて説明すべきであろう。多神教であるばかりか、本地垂迹説などで神仏習合をも可能としてきた日本神道は、教義も聖典も布教活動も無い「宗教」であり、土着信仰か風俗に近い「曖昧な宗教」。それ故に他宗教に対し「凄まじい」と言って良い程寛容だ。事実、キリスト教徒が英霊として靖国神社に祀られている方々も数多あれば、仏教徒はもっとある(*3)。「宗教的寛容=曖昧さ」はある時期以降日本人の特性みたいなものだが、それ故に「日本神道に偏って見える」靖国神社の実質を「汎宗教的なアーリントン墓地」に近づけている。
 上掲Wedge記事の記述や、ワシントン及びアメリカ(の一部)が考えるよりは、靖国神社とアーリントン墓地の実質は、類似しているのである。且つ、どちらも「祖国の為に命を捧げた方々に敬意を表する」点では何ら相違がない。
 
 これでも、「靖国神社をアーリントン墓地と同一視する事で、靖国神社参拝を正当化する事は許容されない」のであろうか。
 
 教育してやれ!

 

<注釈>

(*1) 「無神論者の墓に詣でる」場合は…「純粋な先祖崇拝」って事になるのだろうか。詣でる方の親族子孫にも、葬られている故人にも、聞いてみたい気はするが。 
 
(*2) 但し、神道が回教や仏教やキリスト教と同じ意味で「宗教」かと言うと、違うだろう。教義も聖典も無いし、布教活動も原則無い。それ故に実態が曖昧だが、それ故に骨絡みで、日本人の中には確固としてある。
 「御先祖様」は仏教の影響が強そうだが、「お天道様」「初日の出」などの「太陽信仰」も、神道の一側面だろう。 
(*3) 日本におけるキリスト教徒は「日本人の1割以上になった事が無い」のだそうだ。真偽のほどは、不明だが。 
 

中・韓との関係改善に「首相靖国不参拝」なぞ、役に立たない

 上記(4)「個人の信条を日米同盟の将来や日本の国益に優先させた」上記(5)「中国・韓国に「日本軍国主義復活!」と騒ぐ口実を与えた 」とは併せて議論できそうだ。上記(4)で言う「日本の国益」「日中・日韓関係の改善・安定」を意味するならば、上記(4)は上記(5)を包含するモノと言えよう。
 
 だが、上記(5)「韓中が"日本軍国主義復活"と騒ぐ口実」と言うのは、それこそ掃いて捨てるほどある。昨年夏8.15に安倍首相は靖国参拝を見送り、玉串料奉納にとどめた事も記憶に新しいが、 玉串料奉納は形を変えた靖国参拝だ」と断じて見せたのは他ならぬ大陸は中国共産党の宣伝機関・人民網だ(*1)。さらに言えば、20年間軍事費二桁成長の大軍拡路線驀進中の中国共産党は、我が国十数年ぶりの防衛費微増さえも、安倍首相の「どうぞお呼び下さい」発言を絡めて「軍国主義の復活!!」と非難している。安倍首相が靖国参拝しようがすまいが、わが国防衛費の増加は「"軍国主義復活!"と騒ぐ口実」にされることは、殆ど疑問の余地が無いし、なにしろつい先年まで10数年間軍縮路線である我が国は、今後防衛費増加させなければならない事にも、ほぼ疑問の余地が無い。米国の財政状況を考えればなおさらであるし、我が国防衛費の増加は基本的に米国の利益でもある筈だ。「韓中が"日本軍国主義復活"と騒ぐ口実」と言うならば我が国は再び軍縮路線に転じざるを得ない。尚且つ…仮に首相が靖国神社に参拝せず、軍縮路線を再開したとしても、韓中が「日本軍国主義復活!」と騒ぐことは賭けたってよい位だ。何が今さら「韓中が"日本軍国主義復活"と騒ぐ口実になるから、日本首相の靖国神社参拝反対」なものか。
 言い換えれば「日中/日韓関係の改善・維持」と言う「国益」は「日本国首相靖国不参拝」ぐらいでは全く得られないのである。実際、日本国首相の靖国参拝は昨年末の安倍首相参拝まで長い事実施されず、先の民主党政権時代にはついに「全閣僚靖国不参拝」と言う惨状を呈するに至ったが、その事によって日中/日韓関係は些かなりとも改善しなかったのである。
 
 従って「日本国首相は靖国不参拝とする事で"国益"を守れ!」と言う主張は、成立しない。この主張が成立しない以上、個人の信条を国益に優先させた」と言う上記(4)安倍首相靖国神社参拝批判は、成立しようが無い。
 
 第一、これまた当ブログで繰り返している通り、「日本国首相が靖国神社に参拝する」のは、「私利」でもなければ「個人の信条の発露」でもない。それは自衛隊三軍最高指揮官としての日本国首相の義務である。
 上掲Wedge記事に於いても、「国のために犠牲になった人に尊敬の念を表す」事に、(少なくとも)日米に共通する価値を認めているではないか。これが「個人の信条」なんて矮小なモノであろうはずが無かろう。

 

<注釈>

(*1) 日本の歴史観の後退は国際社会から強く非難されるべき   http://j.people.com.cn/94474/8383557.html 
 
 へと続く

転載元: 日出づる処の御国を護り、外国までも率いん心


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