【南シナ海問題】
中国空母「遼寧」出撃か
習氏「大国のプライド」示すため
緊張増す南シナ海
中国初の空母「遼寧」(AP)
中国の習近平国家主席は、「大国のプライド」を示すことができるのか (AP)
南シナ海を舞台にした米中の軍事的緊張を受けて、
中国初の空母「遼寧」の動向が注目されている。
中国国内の強硬世論に押されて、軍事演習などの形でプレゼンスを示す可能性があるのだ。
「大国のプライド」を重視する習近平国家主席と中国人民解放軍。
米国が誇る2つの空母機動部隊が東アジアに展開するなか、本当に“出撃”するのか。
人民解放軍の機関紙「解放軍報」は30日付で、
南シナ海を舞台にした米中の軍事的緊張を受けて、
中国初の空母「遼寧」の動向が注目されている。
中国国内の強硬世論に押されて、軍事演習などの形でプレゼンスを示す可能性があるのだ。
「大国のプライド」を重視する習近平国家主席と中国人民解放軍。
米国が誇る2つの空母機動部隊が東アジアに展開するなか、本当に“出撃”するのか。
人民解放軍の機関紙「解放軍報」は30日付で、
南シナ海を管轄する南海艦隊所属のフリゲート艦などが28日、洋上でミサイル迎撃訓練を行ったと伝えた。国内世論にアピールする狙いとみられるが、訓練場所などは報じていない。
これまで中国は、南シナ海の岩礁を勝手に埋め立てて軍事基地化してきたが、
オバマ米大統領が派遣したイージス駆逐艦「ラッセン」1隻で一気に劣勢に回った。
「(南シナ海は)古来、中国の領土だ」と強弁していた習氏のメンツは丸つぶれとなった。
「中華民族の偉大な再興」を掲げる習指導部が、実態不明のミサイル迎撃訓練だけで、黙っているとは思えない。
中国海軍の呉勝利司令官も29日、
「中華民族の偉大な再興」を掲げる習指導部が、実態不明のミサイル迎撃訓練だけで、黙っているとは思えない。
中国海軍の呉勝利司令官も29日、
米海軍制服組トップのリチャードソン作戦部長とのテレビ会談で、「米国が危険な挑発行為を続ければ、海空で重大な緊迫する事態が発生し、
衝突(発砲)が起きる可能性がある」と“警告”した。
ここで動向が注目されるのが、2012年に就役した中国初の空母「遼寧」だ。
実は29日、気になる通達があった。
中国・海事局が《朝鮮半島の西方、渤海海峡と黄海北部に30日から11月6日まで飛行禁止区域を設定した》と発表したのだ。
これは軍事演習を前提にしたものとみられる。
「遼寧」の母港は、黄海に面した山東省・青島にあり、軍事演習が実施されれば参加する可能性がある。
カナダの軍事専門誌などによると、中国は昨年末、米中がにらみ合う南シナ海に面した海南島に空母専用の海軍基地をほぼ完成させたという。そして、「遼寧」は一昨年、海南島まで航海しているのだ。
米海軍は現在、南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島周辺で、イージス艦による監視・哨戒活動を行うだけでなく、
南シナ海に米原子力空母「セオドア・ルーズベルト」を、北京に近い日本海周辺に原子力空母「ロナルド・レーガン」を展開し、中国をけん制している。
もし、この間隙を縫うように、空母「遼寧」を、青島から海南島まで前進させられれば、「大国のプライド」を内外に示すことができる。
中国のネット上には、今年春ごろから「(遼寧が)南シナ海に出る日を待ち望む」「南シナ海で訓練すべきだ」といった熱烈な意見が見られるという。
ただ、ウクライナの空母を改修した「遼寧」については、その性能に疑問符がつきまとう。艦載機の着艦試験成功は伝えられているが、「実は、ポンコツなのでは?」という見方も強い。
真価が問われるなか、「遼寧」は動くのか?
世界の軍事情勢に精通するフォトジャーナリストの菊池雅之氏は
「『遼寧』の戦力はそれほど高くない。ハリス米太平洋軍司令官が11月2日から訪中し、中国軍幹部と協議する。米中は話し合いで事態を打開しようとしている。しばらく中国側は動かないだろう」と分析している。
衝突(発砲)が起きる可能性がある」と“警告”した。
ここで動向が注目されるのが、2012年に就役した中国初の空母「遼寧」だ。
実は29日、気になる通達があった。
中国・海事局が《朝鮮半島の西方、渤海海峡と黄海北部に30日から11月6日まで飛行禁止区域を設定した》と発表したのだ。
これは軍事演習を前提にしたものとみられる。
「遼寧」の母港は、黄海に面した山東省・青島にあり、軍事演習が実施されれば参加する可能性がある。
カナダの軍事専門誌などによると、中国は昨年末、米中がにらみ合う南シナ海に面した海南島に空母専用の海軍基地をほぼ完成させたという。そして、「遼寧」は一昨年、海南島まで航海しているのだ。
米海軍は現在、南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島周辺で、イージス艦による監視・哨戒活動を行うだけでなく、
南シナ海に米原子力空母「セオドア・ルーズベルト」を、北京に近い日本海周辺に原子力空母「ロナルド・レーガン」を展開し、中国をけん制している。
もし、この間隙を縫うように、空母「遼寧」を、青島から海南島まで前進させられれば、「大国のプライド」を内外に示すことができる。
中国のネット上には、今年春ごろから「(遼寧が)南シナ海に出る日を待ち望む」「南シナ海で訓練すべきだ」といった熱烈な意見が見られるという。
ただ、ウクライナの空母を改修した「遼寧」については、その性能に疑問符がつきまとう。艦載機の着艦試験成功は伝えられているが、「実は、ポンコツなのでは?」という見方も強い。
真価が問われるなか、「遼寧」は動くのか?
世界の軍事情勢に精通するフォトジャーナリストの菊池雅之氏は
「『遼寧』の戦力はそれほど高くない。ハリス米太平洋軍司令官が11月2日から訪中し、中国軍幹部と協議する。米中は話し合いで事態を打開しようとしている。しばらく中国側は動かないだろう」と分析している。
ロシアが中国空母「遼寧」を酷評
「まあ、もともとゴミだし」
中国大手検索サイト百度の掲示板に「ロシアメディアが遼寧号を安価で防衛能力はほとんどないと酷評」というスレッドが立てられた。
スレ主が紹介した同ニュースに対して、中国人ネットユーザーからさまざまなコメントが寄せられた。
ロシアのメディアは、中国の空母「遼寧」の前身はウクライナから2000万ドルで(約19億4000万円)で購入した空母「ワリヤーグ」だと紹介したうえで、「世界でもっとも安価な空母」だと指摘した。
ロシアのメディアは、中国の空母「遼寧」の前身はウクライナから2000万ドルで(約19億4000万円)で購入した空母「ワリヤーグ」だと紹介したうえで、「世界でもっとも安価な空母」だと指摘した。
さらに搭載予定の殲-15戦闘機の性能は明らかに米国の戦闘攻撃機F/A-18E/Fに見劣りし、最新のレーダーや探知能力を有する戦闘機やヘリも配備されておらず、
「自己防衛能力がほとんどなく、低空飛行の空中目標を攻撃することしかできない」とこき下ろした。
ロシアメディアの酷評に対して中国のネットユーザーからも「まあ、もともとゴミだしね」と、意外にもロシアメディアの報道に同意するコメントが寄せられた。
ロシアメディアの酷評に対して中国のネットユーザーからも「まあ、もともとゴミだしね」と、意外にもロシアメディアの報道に同意するコメントが寄せられた。
また「まずは有る無しの問題から解決しないとなんだよ。それから良し悪しの問題を解決するんだ。少なくとも今は有るんだし」
と、まだ中国の空母の歴史は始まったばかりであり、やむを得ないという意見も。
しかし、ロシアメディアの酷評には気分を害した中国人もいたようで、「ロシアさんよ、言ってることが的確過ぎるんだよ」というコメントや
「冗談だろ? 空母に自衛能力があるなら空母戦闘群なんていらないだろ」と指摘するユーザーもいた。
ほかには「最安値の称号はインドのためにとっておこうじゃないか。ヴィクラマーディティヤは、船体自体は無償だったんだぜ。 遼寧号はそれでも2000万ドル払っているんだ」と指摘するユーザーもいたが、遼寧号の性能の低さを否定するコメントは皆無であった。
と、まだ中国の空母の歴史は始まったばかりであり、やむを得ないという意見も。
しかし、ロシアメディアの酷評には気分を害した中国人もいたようで、「ロシアさんよ、言ってることが的確過ぎるんだよ」というコメントや
「冗談だろ? 空母に自衛能力があるなら空母戦闘群なんていらないだろ」と指摘するユーザーもいた。
ほかには「最安値の称号はインドのためにとっておこうじゃないか。ヴィクラマーディティヤは、船体自体は無償だったんだぜ。 遼寧号はそれでも2000万ドル払っているんだ」と指摘するユーザーもいたが、遼寧号の性能の低さを否定するコメントは皆無であった。
ロシアメディアの指摘どおり、中国初の空母「遼寧」は2000万ドルでウクライナから購入したものだ。
当初は「海上での娯楽施設に改造する」と主張していたが、米国などの懸念どおりに中国まで運んだ後はまんまと空母として建造を開始した。
(編集担当:畠山栄)
訓練公開「中国空母」真の実力は…性能誇示も「欠陥指摘」続々、“ポンコツ説”払拭できず、透ける「軍・当局の腐敗」
アジアの軍時バランスを崩す脅威か、それともただの「ポンコツ10+ 件」か-。中国初の空母「遼寧10+ 件(りょうねい)」が4月、就役後初めての長期修理のため、遼寧省大連港のドックに入った。海軍が誇る同空母の実力については当初、日本でもさまざまな憶測を呼び、一時は「航行速度が遅く、戦闘機が離陸できない」との見方も浮上したが、その後、新鋭の艦載機がミサイルを搭載して発艦する様子を中国が公開し、決して飾りではないことを証明した。だが、話はこれで終わりではない。艦上戦闘機がロシア製のパクりで性能が劣るうえ、艦載の空中給油機がないなど、中国当局が公表していない“欠陥”が相次いで指摘されているのだ。海洋進出で軍事的脅威を演出する中国。その空母の本当の実力はどんなものなのか。(岡田敏彦)
張り子の虎?
「遼寧10+ 件」は、旧ソ連で建造中だった空母ワリヤークを改造したもの。米軍事専門サイト「naval-fechnology-com」などによると、ソ連崩壊後の1998年にスクラップとして2千万ドルでウクライナから購入。修理や改装を行い、2012年10月から軍が運用を始めた。
当初疑問視されたのは「本当に戦力になるのか」ということだ。まず指摘されたのは速力。中国の一部報道では、ウクライナからの引き渡し時には「エンジンは外されていた」との説が有力で、さらに中国には大型艦船に搭載する蒸気タービンエンジンや高性能ディーゼルエンジンの開発能力がないことから、速力はせいぜい約20ノットと推定された。これは艦載機運用の面でかなり劣る性能だ。
また当初は、遼寧には艦載機を蒸気の力で打ち出すカタパルト(射出機)がなく、艦載機を風に乗せて発艦させやすくするため、艦は風上に向かって全速航行して向かい風(合成風力)を受けなければならない-といわれ、「戦闘機などの艦載機を離着艦させるのは難しい」とみられていた。
こうした「能力不足」との見方は12年12月、中国海軍が離着艦訓練に成功した様子を映像で公開してからも同じだった。公開映像では艦上戦闘機J-15はミサイルなどを搭載しておらず、「軽くしないと飛べない」とみられ、張り子扱いは変わらなかった。
実は侮れない
ところが中国海軍は13年11月、一転してJ-15がR-73空対空ミサイルを搭載して離着艦訓練を行う様子を「チャイナ・デイリータイムス」など中国メディアを通して公開、張りぼてではないことを強くアピールした。また遼寧のエンジンについても、ウクライナでエンジン本体は取り外されておらず、配管や配線を撤去しただけだったことが明らかになった。電子装備など不備はまだ多いが、決して使い物にならないポンコツではないことが有力になったのだ。
中国が艦船購入したロシアの技術力は本物
現在ロシアでは、遼寧(旧ワリヤーク)の同型艦「アドミラル・クズネツォフ」を運用している。ソ連崩壊による財政難で一時は廃艦同然だったが、プーチン政権成立以降、何度もドック入りして修理や改修を繰り返し、現役当時の性能を取り戻した。
ロシア中央海軍公式のサイト「FLOT.COM」によると、同艦は13年12月17日、「第5次地中海遠征」と名付けられた遠距離航海に出発。14年1月15日にジブラルタル海峡を通過して地中海に入り、その後は北東大西洋を航行した。この間、艦載戦闘機とヘリコプターが計350回の発艦を実施したという。西方軍管区広報によれば、5月19日にムルマンスク港へ帰港する予定で、半年近い作戦行動が可能なことを証明した。
艦載の戦闘機は空力的には世界最強のSu-27系列のSu-33で、ミサイルを搭載したうえカタパルトなしのスキージャンプ式甲板から発艦。兵装をフル装備する場合は機内燃料の搭載量を減らして重量を軽くし、発艦後に空中給油機で補う。これは米軍も使うノーマルな運用方式で、空母としての能力に不足はない。
ロシア海軍は、ソ連時代末期には米国に対抗するべく大型空母の開発を模索。アメリカの独占技術でもある蒸気カタパルトについても大規模な研究実験施設を設け、ほぼ開発を終了していたとされる。艦上戦闘機のエンジンに関する技術も最先端。米国のステルス戦闘機F-35の艦載版「F-35B」の推力変更ノズルは旧ソ連が開発していた垂直離着陸戦闘機yak-141の技術を採用している。ソ連=ロシアの技術はホンモノなのだ。
ひるがえって遼寧の艦載機J-15はロシア戦闘機Su33の中国版、そして遼寧も元はといえばロシア(ソ連)製で、潜在能力は捨てたものではない。ロシアの協力を得て本気で“大改良”すればクズネツォフ同様の正規空母になりそうなのだが、中国にはそれができないわけがある。
中国「パクりの伝統」…勝手に輸出、儲けに
そもそも中国とロシアはソ連当時も、同じ共産党政権ながら蜜月ではなかった。西側との冷戦まっただなかの1969年3月にはアムール川(中国語名=黒竜江)の支流の中州「ダマンスキー島」の領有権をめぐって中国軍とソ連軍の間で大規模な軍事衝突が発生。これが中国のソ連離れを招き、米中国交樹立につながった。
その後中ソ(中露)の関係は次第に修復していくが、解決できない問題も多く残った。そのひとつが中国のソ連兵器の無断コピーだ。ソ連は当時も、ロシアになったいまも武器輸出大国。そして中国はソ連との関係悪化以降、自国向けに技術をパクって大量生産するだけでは飽きたらず、第三国に輸出してもうける図式が固定化している。
先に紹介したダマンスキー島事件で奪い取ったソ連戦車T-62の技術をパクって“国産戦車”を開発し、パキスタンや中東諸国に輸出。有名なソ連製のAK-47自動小銃についても、中国はソ連のライセンスを元に生産していたが、ソ連崩壊後は「独自開発だ」と言い張ってライセンス料支払いを拒否した経緯がある。
現在中国最新の戦闘機J-11Bも、もとはとえいばロシアのSu-27をライセンス生産した戦闘機を無断で追加生産したもので、ロシアは「知的財産権の協定違反だ」と猛抗議している。
戦闘機やはり劣化版
このパクり癖の集大成が遼寧に積んでいるJ-15だ。元々はソ連崩壊時にウクライナに残されたSu-33の試作機「T-10K」を、ウクライナから購入、コピーしたもの。ただしソ連=ロシアでは試作機で判明した問題点を改良して量産したが、中国は改良どころか心臓部ともいえるエンジンをコピーできなかった。
結果、フランスの旅客機用エンジンなどを参考に開発した国産エンジン「WS10」を載せようとしたが、出力全開まで時間がかかるなどレスポンスが悪く、これでは戦闘機として致命的なことが判明。耐久性もAL31の400時間に比べわずか30時間との説がある。
結局エンジンはロシアから「別の戦闘機に載せる」との名目で購入したAL31を搭載。パクった機体にオリジナルのエンジンという何とも情けない仕様となった。
また機体も艦載機としての強度など多くの問題があったようで、中国はロシアに対しホンモノのSu-33を販売してほしいと打診。ロシアも商談の席に着いたが、その購入数を聞いてあきれた。
中国が遼寧に搭載を計画している戦闘機は24~36機。さらに現在オール国産の空母2隻を建造中で、飛行隊の編成を考えれば最低でも50機は必要。ロシア側も一旦閉じた生産ラインを再開するコストも考慮して40機の購入を打診した。
ところがカナダの軍事専門誌「漢和防務評論」によれば、中国が希望した購入数はわずか7機。「パクるための見本にする」という意図があからさまな提案に、ロシアは販売を即却下。インターファクス通信などによると、今年に入って24機の売買契約が再浮上しているが、実現するかは不透明だ。
輸入はうまみがない?
中国空母「遼寧」に足りないものは、主力の戦闘機だけではない。艦載の空中給油機もなければ、空母の目となる早期警戒機もない。最新鋭のレーダーもなければ攻撃機もない。ほかにも空母や随伴艦の運用、編成など課題は山積だ。
ロシアもかつて同様の課題に直面し、現在はそれなりに解決してアドミラル・クズネツォフを使いこなしている。そのロシアが「売る気満々」なのに、無断コピーに走る中国。その背景として指摘されるのが中国当局や人民解放軍の腐敗だ。
賄賂が絶えない中国では、国内生産だと生産企業の指定などで懐が潤うが、外国製購入ではうまみが少ない。それだけに、ロシアの申し出に乗り気にならないのも当然か。
「海洋進出だ」と武力を背景に威嚇する割には必要なものに金を出し渋るあたり、「自分たちだけが潤えば」という中国共産党幹部の本音が透けてみえるようだ。そんな実態を知れば、脅威に映る中国の軍備も案外、見せかけが多いということが分かる。