福島の人たちは
逃げる勇気を
こんなバカがいるから、風評被害を生み
福島の復興をも遅らせるんだ!
―ところで、鼻血騒動の時、雁屋さんの元に届いた意見には批判の声が多かったのでしょうか。
雁屋 あの騒ぎの時、2、3週間で900通近いメールをもらいました。そのうちの95%は僕に対する応援でした。
(雁屋氏に)同感という意見や、福島県民からは「私たちが言えないことを言ってくれてありがたい」という声。
福島に住んでる人たちが何か言うと、変わり者と言われちゃう。だから、本当のことをはっきり言ってくれて嬉しかったという意見が多くありました。
―私も「福島の真実編」(110巻、111巻)を読みましたが、
雁屋さんが福島のことを一番に思って描いているのがよくわかりました。 だからこそ、鼻血のコマの部分だけ炎上してバッシングされたというのがわからない。批判する人は、全部を読んでないとしか思えないですね。
雁屋 僕は福島がすごく好きでね。本当は福島応援団のつもりで行ったんです。
だから最初は内部被曝に対する考えも甘かったんです。
だが、調べていくと原発事故以後の食べ物は相当に汚染されていることがわかった。
例えば、セシウムが25ベクレル含まれた食べ物を一日100g食べたとすると、 それだけで事故前より147倍も多く摂取することになる(注・日本分析センターが2008年に調査した日常食に含まれるセシウム137の福島市の結果から推定)。
でも、国が食品の基準値を100ベクレル以下と決めたことで、みんなが食品は100ベクレル以下ならいいと思ってしまった。
それに食べ物の放射線量も問題だけど、そこで農作業している人たちの被曝はもっと深刻です。
雁屋 土壌に放射性物質がすごく含まれてるでしょう。農作業をしていて土壌を耕すとそれが舞い上がる。
田んぼの周りにいるだけで風が吹けば吸ってしまう。だから 食品の線量が低くなってもやっぱりダメだという結論に達したわけです。
福島県庁だって僕が行った時には毎時0.5μSvあった。避難指定にすべきですよ。土地の汚染はいくら除染したって取り切れませんから。
―住民の中には被曝は怖いけど、いろんな事情で避難しない人もいます。どうしたらよいでしょうか。
雁屋 本当はここに住みたくないと声を上げることです。かなりの人が声を上げたら、
日本人はみんな絶対に反応して応援します。外からなんとかしろと言ってもダメなんです。
ある県民が福島の人は従順でおとなしいと言っていましたが、自分の命がかかっているのだから反抗すべきです。
僕がこういうこと言うと福島差別だって言う人がいるけど、それは逆。
福島を差別している人だから「年間20mSvでも住め」なんて平気で言えるんだ。
もし福島県の人たちを自分と同じ人間だと思ったら、「福島以外に住む僕たちは年間1mSvなのに、なぜあの人たちは20mSvで平気なんだ」と疑問を持って言うべきでしょう。
―雁屋さんに対し、政治家たちはこぞって根拠のない風評だと言いました。それに対してはどう思いますか。
雁屋 風評とは、噂やデマなど事実に即してないことを言いふらすことです。
僕が言ってることは自分が体験した事実。それを風評というのは到底受け入れられない。
風評と言う人は僕の言ったことのどこが風評かその根拠を示してほしい。
誰のどの論文を根拠として、低線量や内部被曝では何も症状は出ないと言い切れるのか。そうしないと議論にならない。
―今、意見が違うと対話もできない風潮になっています。
雁屋 意見が食い違うだけでなく、福島の真実を語ると社会の裏切り者みたいな空気がある。
みんなの和を乱すようなことするなって。とにかく僕はきちんともう一度議論したい。
みんながいろんな意見を言う。それをしないで縮こまっちゃって、特に福島では放射能のことを何か言うと「おかしい」って言われる。
でも自分たちの命がかかってることなんです。福島の人たちには声を上げてもらいたいし、福島から逃げる勇気を持ってほしいと思います。
http://wpb.shueisha.co.jp/2015/03/20/45282/
4年もたってるのに、病気になった人間すら
一人もいないじゃん?
2011年の放射脳の未来予測とは全然違うなw
福島の人たちには声を上げてもらいたいし、
雁屋のような風評被害を撒き散らす悪質な奴を
提訴する勇気を持ってほしいと思います。
”医者・役人は人体への被害を隠している”
”御用学者は研究を拒否している”
”被曝はもっと深刻なハズだ”
こうやってどこまでも延々と
深めてゆくのさ
支那人で腐れ外道の漫画家・雁屋哲が本性を現した。
鼻血、倦怠感は福島に赴いた際の被曝だと云い切ったのである。
(平成26年05月12日付 産経新聞)
今度は、福島大の荒木田 岳を引っ張り出した。
そして、「小学館」 の「ビッグコミックスピリッツ」編集部が見解を発表した。
「24号掲載の「美味しんぼ」作中において、鼻血や疲労感と放射能の影響を関連づける発言が出てまいりますが、前号で登場した医師のように、そうした放射線との関連性について、否定的な意見を持つ方も多く存在します。その因果関係について断定するものではありません。
実在の作中人物の意見を受けた表現は、事故直後に盛んになされた低線量放射線の影響についての検証や、現地の様々な声を伝える機会が大きく減っている中、行政や報道のありかたについて、議論をいま一度深める一助となることを願って作者が採用したものであり、編集部もこれを重視して掲載させていただきました。
また、作中に2013年の取材当時、騎西高校へ避難されていた方々が登場いたしますが、鼻血や体調に関わるエピソードは、この方々への取材とは無関係です。
皆様からお寄せいただいたご批判とご意見は真摯に受け止め、今後の誌面作りに活かしてまいります。5月19日発売の25号と小誌公式ホームページにて、上記の議論を深める意図のもとに、識者、専門家の方々の見解やご批判を含む様々な意見を集約した特集記事を掲載する予定です。「美味しんぼ」福島の真実編の最終話本編と併せて、ご覧いただければ幸いです。
編集部は、 「その因果関係について断定するものではありません」等と述べているが、作中では「被曝が原因」「福島には住めない」と断定して云い切っているではないか。
小学館は、訳の解らん事をゆうとるで…。
支那人で腐れ外道の漫画家・雁屋哲は取材で真実を掬い取った等と云っているが、双葉町に取材の旨を伝えず、自身の偏見で取材をし、自身の主張と同じくする者のみの意見を掬い取って、其れが恰も福島の真実だと偽って、あの糞漫画を描いて、メディアを利用して自身のイカサマ思想を流布したのである。
小学館は、部数を誇っている漫画が世間を挑発する事で注目を浴び、発行部数が拡大するのが目的である。
批判が在ろうと、適当にはぐらかしとけと、此の度の見解が発表されたのである。
所詮は小学館も、本が売れれば何でも在りと云う経済第一主義を突き進む…。
当初、作中では鼻血も被曝と結びつけてはならぬと描写しておきながら、一転しての被曝認定と云う悪辣さ…。
持ち上げては叩き落とす…。
此れは、小学館と支那人で腐れ外道の漫画家・雁屋哲が結託しての世論誘導である。
此の度の「美味しんぼ」について的確な批判をしているブログ在ったので紹介したい。
“言論”の「無知」「無責任」を問う
鼻血原因は「被ばく」…「美味しんぼ」最新号
東京電力福島第1原発を訪問後に鼻血を出す描写が議論を呼んでいる漫画「美味しんぼ」(雁屋哲・作、花咲アキラ・画)の連載漫画誌の最新号に、福島県双葉町の井戸川克隆前町長が鼻血の原因をめぐり「被ばくしたからですよ」と語る場面があることが11日、分かった。
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「週刊ビッグコミックスピリッツ」(小学館)の12日発売号では、主人公らとの会話の中で井戸川氏が「福島に鼻血が出たり、ひどい疲労感で苦しむ人が大勢いる」と指摘した上で「今の福島に住んではいけないと言いたい」と発言。福島大の荒木田岳准教授が除染作業の経験を基に「福島を広域に除染して人が住めるようにするなんて、できないと私は思います」と語る場面もある。産経新聞 (Web) 平成26年5月11日付記事より「個」の日記の資料として参照
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▼ 平成26年5月11日、他の稿
・ASEAN「対中牽制へ」考
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世の迷惑・言論の「無知」「無責任」
風評被害は、メディアの誤報、誤まった情報誘導によって生じる個々への被害と謂える。たとえば、テレビの番組、報道は一度に少なくとも数十万、多ければ数千万人の視聴が集まる。そこにまさかの誤報、誘導が有れば、同時にそれだけ多数の視聴者が影響を受ける。もっと謂えば「植え付け」を受けるに等しくなる。
以って、テレビ、ひいてはメディア全般にはそれ相応の社会的責任の「重み」を有しているはずだが、読者の皆様はメディアの実際をどうご覧になっておられるだろうか。
現下の状況を観るにつけ、必ずしも「すべて」がとは云わないが、むしろ言論の「自由」、表現の「自由」ばかりが先行し、というより独り歩きし、汝がそもそも有しているはずの社会的「責任」、正確な知識にもとづく報道、表現の「義務」の履行の方は疎かになりがちな傾向にないかと。あくまで瑣末な身の体感だが、そう指摘せざるを得ない実情、実態が横行しているかに見受けられてならないのだが。
拙き身の体感がもしも正鵠を射ているとすれば、指摘するメディアのあらざる傾向は、言論の「無知」「無責任」を自ずと露呈するもので、世の迷惑であり、むしろ「無い」方がマシということにもなるが、いかがだろうか。
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問われるべき、表現の「責任」と「義務」
さて、表題は、「東京電力福島第1原発を訪問後に鼻血を出す描写が議論を呼んでいる」として、「漫画「美味しんぼ」(雁屋哲・作、花咲アキラ・画)の連載漫画誌の最新号に、福島県双葉町の井戸川克隆前町長が鼻血の原因をめぐり「被ばくしたからですよ」と語る場面があることが11日、分かった」と。
一方、「「週刊ビッグコミックスピリッツ」(小学館)の12日発売号では、主人公らとの会話の中で井戸川氏が「福島に鼻血が出たり、ひどい疲労感で苦しむ人が大勢いる」と指摘した上で「今の福島に住んではいけないと言いたい」と発言」との描写が有ると伝えている。紙面の指摘が事実とすれば、虚妄であり、これもまた風評被害をもたらす一つとして指摘せざるを得ない。
発行部数約30万部とされる「週刊ビッグコミックスピリッツ」の場合、それ相応n数の購読者が目にするはず。さらに、食堂などの客席や、美容院、病院などの待合場所におかれるケースも多々有ることを考えれば、内容が購読者数以上の目に触れるであろうことは推察に容易である。
であるとすれば、漫画、記事などの誌面の形態の如何を問わずそれ相応の正確な情報にもとづくべき社会的「責任」と表現の「義務」が問われて然りであり、当該の作品がそれを満たしているのか、どうか。粛々と問われるべき点が見受けられるが、原作者はどういうつもりなのか。
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守るべき、福島で懸命に生きている方々の存在
ここでクリップさせていただく紙面は、福島で懸命に生活しておられる魚屋さんの事例を伝えている。過大な線量報道。それらによる風評被害によって返品や購買拒絶に遭いながらも、しかし、「地魚を食べる文化を消さないよう守り抜く」との固い信条をもとに、あえて自主検査による「放射能検査一覧表」を店頭に表示し、干物などの加工法を工夫するなどして生業(なりわい)を続けておられる一例だ。

讀賣新聞 平成26年5月11日朝刊 購入紙面(35面)より
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紙面は、「今月8日。いわき沖試験操業で水揚げされたヤナギムガレイなど3種が原発事故後初めて、東京・築地市場に出荷された」と。当該の魚屋さんが、「14日からも都内の物産展で地魚の干物を初めて販売する」としている。心有る読者の皆様には、こうした魚屋さんをお身近にお見かけになられた際は、可能であればおかずの一品として買い求められ、風評被害に負けずに頑張ってと。励まして差し上げていただければと思う。
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無責任な「大人」に対する指摘、注意を
先年の先稿で記した記憶が有るが、世にはやはり国籍不明の無責任世代の徘徊が「風評被害」の推進役の一角を担っている現実に気付いた次第である。言葉悪くて恐縮だが、しかし、物理学的には自然界に存在し得ない“線量ゼロ”を、むしろ虚妄を戒める社会的立場に有り、責任を有しているはずの六十代、七十代の妙齢の「大人」方々までが先導している。
その一人を目の当たりにした際、話される内容が余りにも無惨に映ったため、名刺を示し、地球をはるかな母体としている我々の人体にもごく微量ながらセシウムやトリチウムといった放射背物質と呼ばれているものも構成物質であることや、線量に関係する炭素、カルシウムの同位体元素も多分にそれを成している事実をお話した。
ごく通常の状態でも、人体(体重60キログラムの場合)における内部被爆は7000ベクレルを超えている。いわば、自然界の一つとしての人体も例外なく線量を出しているのであって、貴兄ご自身もご家族もまたその例外ではない。その現実も踏まえての“線量ゼロ実現”のご主張かと。猫のように淡々と問いかけさせていただいたことが有った。
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「風評被害」のもう一つの形
当該の方は、「いや、テレビや新聞でしか知識を得られないもので」と云われが、言い訳にならない“反論”である。そのレベルの「知識」で“線量ゼロ社会を実現しよう”などと運動しているおられるのであれば、言葉厳しいかも知れないが、虚妄を拡散するカルト教団の信者らとその本質は何も変わらない。「大人」としての社会的責任を自覚しておられるのか、どうかと問わせていただいた次第である。
今後も、無責任な「大人」に対する指摘や注意。仁義なき啓蒙を身近に続けて行きたいが、新たに一つ指摘出来ることは、それら風評加害側の「大人」もまた、自らが気づかぬ「風評被害」被害者の別形態(事例)の一つではないかと謂うことだ。
と論じている。
読売新聞では…
あらぬ不安を煽(あお)る問題の多い内容である。
漫画誌「週刊ビッグコミックスピリッツ」(小学館)の連載「美味しんぼ」が、放射性物質による健康被害の描写を巡って、物議を醸している。
12日発売の最新号と前号で、福島県双葉町の井戸川克隆前町長や福島大の荒木田岳准教授ら実在の人物を登場させ、「福島の真実」をテーマに語らせた。
主人公が、東京電力福島第一原子力発電所の現場を視察した後に鼻血を出す場面がある。井戸川氏は、「鼻血が出たり、ひどい疲労で苦しむ人が大勢いる」と述べ、被曝(ひばく)を原因と明言している。
荒木田氏は、「(福島県を)人が住めるようにするなんて、できない」と断じている。
いずれも科学的知見に基づかない独善的な見解である。菅官房長官が「正確な知識をしっかり伝えることが大事だ」と述べたのは、もっともだろう。
福島県では、全県民を対象とした調査により、健康影響を早期に発見する体制が整っている。これまで、放射性物質による直接の健康被害は確認されていない。
国連の専門委員会も、「住民に確定的影響は認められない」との見解を示している。
除染も、順次進んでいる。福島県によると、除染と放射性物質の自然減により、放射線量が60%以上低減した場所もある。
「美味しんぼ」の描写は、専門家が、現場や住民の調査を踏まえて蓄積してきた客観的事実をないがしろにするものと言える。
福島県では約200万人が生活し、復興を目指している。「美味しんぼ」は、これに冷水を浴びせている。県も、「県民を深く傷つけ、風評を助長するもので断固容認できない」と非難した。
「美味しんぼ」の作者、雁屋哲氏は自身のブログで、「取材をして、すくい取った真実を書くことがどうして批判されなければならないのか」と反論している。
だが、一方的な見解を拡散させることで、福島県民の不安を増幅させていいのだろうか。
小学館が雑誌の発売後、健康被害に関する県の見解を求めたことも、裏付けの甘さを物語る。
最新号には、震災がれきの処理を受け入れた大阪の住民に健康異常が出ているとの記述もあり、大阪府などが小学館に抗議した。
表現の自由は最大限尊重されるべきだが、作者や出版社には、内容についての責任が伴うことを忘れてはならない。
産経新聞では…
そして、 京都医療科学大学の遠藤啓吾学長も…
「低線量被曝が原因で鼻血が出ることは、科学的にはありえない。大量被曝した場合は血小板が減少するため、血が止まりにくく、鼻血が出やすくなるが、血小板が減るのは(がんの死亡リスク上昇が確認されている100ミリシーベルトの10倍にあたる)1千ミリシーベルト以上の被曝を した場合であり、それ以下の被曝では影響がない。住民も福島第1原発で働く作業員も、事故で1千ミリシーベルトを超える被曝をした人はいな
い。住民の被曝線量は大半が10ミリシーベルト以下。原発作業員の中に、白血球や血小板の数値に異常がある人がいるとは聞いていない。もし低線量被曝の影響で鼻血が出るのだとしたら、一般の人々より被曝線量の高い放射線技師や宇宙飛行士は鼻血が止まらないことになる。福島の人たちは過剰な不安を抱くことなく、安心して生活してほしい」
此の論こそ冷静な見解である。
井戸川と雁屋は、低線量被曝を原因にこじつけず、自身の持病を疑え。
あんた、高血圧とちゃうんか?
鼻血の原因は、他に重大な病気の原因が考えられるので、井戸川も雁屋も毎日鼻血が出る様なら精密検査してもらいなはれ。
井戸川は、他人の意見を聞き入れず思い込みの激しい性格だそうで、其の性格が昂じて自作自演とか?
(以下略)
回天日記 面舵いっぱ~い !より転載しました
詳しくは下記をお読みください
http://blog.goo.ne.jp/yamatojinmutai/e/f2c724b1201...
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福島県 風評被害対策サイト「ふくしま新発売。」
開設 放射能物質の検査結果など
正確な情報を発信し、風評被害を払拭したい」と話している。
・ふくしま新発売。
→ http://www.new-fukushima.jp/
※記事内容は紙面掲載時の情報です。
※画像、サイトURLなどをWeb担当者Forum編集部が追加している場合もあります。
※見出しはWeb担当者Forum編集部が編集している場合もあります。
※週刊『日流eコマース』は、2011年6月23日より『日本ネット経済新聞』へとリニューアルしました。
【福島米 原発事故との闘い】風評被害を払拭 全袋検査 海外でも評価
・震災後初の米輸出
・予定数量2日で完売
・99.99%が基準値未満
・浜通コシ契約率15%
・県産使用給食に助成
JA全農はこのほど福島県産の米をシンガポールで販売した。震災後に福島県で生産された米としては初めての輸出・販売だ。JA全農は今回は「輸出・販売促進の風穴を開ける」ことが目的で、今後は震災前に販売実績のあった香港、台湾などにも福島産を初めとする米販売の促進を通じて生産者と地域農業の復興を支援していく。ただし、米の全袋検査という世界でも例のない取り組みによって安全性を確認しているにもかかわらず、国内で震災前の取引が回復していない例も多いという。改めて福島県の農業復興に向けたこれまでの取り組みと課題を考えてみた。
8月22日からシンガポールの明治屋で販売された福島県産コシヒカリ
(写真提供:JA全農)
復興への課題
今回の福島県産コシヒカリ(25年産)の輸出先はシンガポール。明治屋シンガポールで8月22日から5kg袋で販売した。
福島県は原発事故前は香港や台湾などに年間100tほどの米を輸出しており、JA全農も30tほどの輸出実績をあげていた。しかし、原発事故で各国が日本の農林水産物の輸入規制を強化するなかで福島産の米も輸出できなくなっていた。
その後、国によっては輸入規制の解除・緩和が行われるようになり、今年6月初めシンガポールは日本政府との間で農産物の輸入停止を緩和することに合意した。米については輸出・販売しようとするなら、これまではシンガポールでの全ロット検査が義務づけられており、コストや手間を考えると実質的に輸出できない状態だった。しかし、日本では米に限らず多くの食品からの放射性物質の検出数値は極めて低いことなどを評価し、シンガポールとして6月からは現地でのサンプル検査を行えば輸入を認める規制緩和を決定した。
これを受け、明治屋シンガポールで毎月1回開催しているJA全農フェアでの福島県産米販売を提案し、今回の販売が実現した。明治屋シンガポールでのJA全農フェアは2011年6月から始まった。日本の旬の農産物を販売してほしいという要望に応え、全国各地の農産物の輸出拡大も視野に始めたものだが、原発事故後からのこの取り組みは日本の農産物の安全性をアピールする機会にもなっていた。こうした継続的な取り組みによって海外の販売先と信頼関係を築いていたことも今回の輸出再開につながったともいえる。
販売したのはJAすかがわ岩瀬の生産者組合による特別栽培米。全農パールライスが精米・商品化していることから今回のフェアでの販売を提案したという。店頭では福島県産米の「安心・安全」をPRするため玄米段階での全袋検査や、農地の除染と吸収抑制対策など、生産から流通までの安全確保策についてパネルやDVDで説明した。JA全農職員も販売促進のために店頭で安全性をPR、フェアは8月22日から3日間実施されたが、福島産米は翌23日の夕方に予定の約60袋(計300kg)全量を販売することができた。
シンガポールでの福島産米の販売は現地でもメディアの関心が高く、報道で今回の販売を知った人もいたという。JA全農の輸出推進課によると現地の消費者にはまだ敬遠する人もいたことは事実だが、一方では全袋検査など安全確保策に理解を示す人も多く、今後の販売予定などを尋ねる人もいたという。
今回は震災後に作付けされた米として初めての輸出再開を実現した。輸出拡大に「風穴を開ける」(輸出推進課)ことが目的で、今後は香港、台湾などの再開にもつなげていくとともに、米だけでなく福島県産の青果物の販売促進も課題としている。海外での販売拡大も契機にして復興支援をしていく考えだ。
◆99.99%が基準値未満
今回の輸出再開を「福島産米の販売促進につなげたい」との期待は大きい。しかし、それは風評被害に苦しみ同県産米が販売不振にあることも背景にある。輸出・販売したJAすかがわ岩瀬の特別栽培米は震災前は関西の量販店とも取引があったが、安全性が確認されているにもかかわらず現在、取引の再開はないという。
改めて原発事故以降の福島県の農業復興に向けたこれまでの取り組みをまとめておきたい。
JA福島中央会のまとめによると、原発事故による作付け制限は23年産では1万1700ha(避難指示区域)で、作付け自粛の1600hasと合わせて1万3300haに達した。
それが25年産では作付け制限は帰還困難区域の6000haまで減少した。しかし、作付け自粛農地は4100haと23年産よりも増えている。これは農地の除染が遅れているので、生産者が自粛したためだ。
26年産では作付け制限はさらに減って2100haとなり、居住制限区域などで除染後農地の保全管理や市町村の管理のもとで試験栽培や、作付け再開に向けた実証栽培なども実施することになっている。
24年産からは、県内で生産された米は全袋検査して出荷している。県内生産量は36万t。そのすべてについて202台の機器を導入して検査を実施。このうちJAグループは131台を導入している。
25年産米については今年3月末までに1095万袋の検査が終了。基準値(100ベクレル/kg)を超過したのは28袋。全体の「0.0003%」で、99.99%が測定下限値未満になっている。
検査は米だけではなく、園芸品目でも全戸・全品目検査(自主検査)に取り組んでいる。県内JAにはNaIシンチレーションを119台、ゲルマニウム半導体検出器2台などが導入されている。25年度のモニタリング検査では野菜の97%、果実の70%が「検出せず」の結果で、基準値を超えた例はなかった。出荷制限品目は現在、一部地域の大豆、野生の山菜、タケノコ・キノコ類などに限られている。
また、農地の除染は牧草地や樹園地など含めた農地合計で2万3690haを計画。25年末時点で83.7%で実施された。セシウム吸収抑制対策も実施しており、25年産米でもカリの追加施用を実施している。JA全農福島の集計では25年産水稲作付け面積6万8000haに対して成分総量約6000tのカリを施用した。これは慣行のカリ施用のほぼ2倍にあたる