The Page 2013.6.18 より
かつて、日本の輸出相手国はアメリカが一番でした。それが2009年より中国への輸出が最大になっています。それもあって「中国は日本にとって欠かせない経済大国だ」と言われています。
しかし、「じつはそうではなかった」ということが明らかになりました。
―――「ん? どういうこと?」
今年1月、OECD(経済協力開発機構)とWTO(世界貿易機関)が「付加価値貿易統計」という付加価値で考える新しい貿易統計を公表しました。
これによると、日本の輸出先はアメリカが最大で、従来の統計で最大だった中国を上回ることがわかったのです。対米の貿易黒字は従来の統計と比べて「6割増」となり、日本経済は「やはりアメリカとの結びつきが強い」ということを改めて認識させられました。
新しい貿易統計とは
―――「そもそも、『付加価値で考える新しい貿易統計』って、どういうこと?」
これまでの貿易統計は、輸出入した商品の「金額」で表されていました。
日本からアメリカに100ドルの商品を輸出したら、日本の「対米輸出」に100ドルが加算されます。同じように、次のことが言えます。
【貿易1】日本がゼロからつくった100ドルの商品を中国に輸出
【貿易2】それを中国が加工して150ドルの商品にして、アメリカに輸出という取引があったとしましょう。
この場合、
・日本には「中国向け輸出」が100ドル
・中国には「アメリカ向け輸出」が150ドル加算されます。
付加価値で計算する
新しい貿易統計はここが違う
しかし、この新しい貿易統計では、別の基準で計算するのです。「付加価値」です。
さきほどの【貿易2】で、中国からアメリカに商品が150ドル輸出されました。しかし、そのうち100ドル分は、日本で作っています。
この取引を付加価値で考えると、
・100ドル分は日本で生産されて、アメリカに渡った
・50ドル分は中国で生産されて、アメリカに渡った
ということになります。これを反映させたのが、新しく発表された貿易統計です。
つまりこの場合、
・日本の対アメリカ輸出が100ドル増える
・中国の対アメリカ輸出が50ドル増える ということになるのです。